2004 Fiscal Year Annual Research Report
新規白色腐朽菌によるダイオキシン類分解除去システムの開発
Project/Area Number |
15560674
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
榊原 三樹男 福井大学, 工学部, 教授 (90111773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 博之 福井大学, 工学部, 助教授 (60242583)
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Keywords | 白色腐朽菌 / ダイオキシン / 分解 / マンガンペルオキシダーゼ / 回転円板型バイオリアクター / バイオレメディエーション / ペルオキシダーゼ / フェノール系化合物 |
Research Abstract |
昨年度に続き、今年度行った研究によって得られた知見は、以下の通りである。 1.ダイオキシン分解菌のスクリーニングと並行して行ったフェノール系化合物の重合沈澱処理に有効なペルオキダーゼの大量生産法に関する実験は、昨年度終了している。今年度は、その粗酵素液を用いてノニルフェノール除去に関する実験の最適化を行った。ノニルフェノール除去に関して、ノニルフェノールと酸化剤過酸化水素との最適モル比は1:7であり、最適pHおよび反応温度はそれぞれ7-8、25-40℃であった。なお、この条件下において1mg/Lのノニルフェノールを除去するのに必要な酵素量は、0.5U/mLとなった。すなわち、1mgのノニルフェノールを除去するのに500Uのペルオキダーゼが必要であることを示している。この値は、ビスフェノールAを除去するのに必要な量の16.7倍であった。なお、ビスフェノールAとこの酵素との反応では、酸化重合による沈殿が生じたが、ノニルフェノールの場合には、沈殿は発生しないため、ビスフェノールAとは分解機構が異なることが示唆された。 2.昨年度、スクリーニングした白色腐朽菌を用いてダイオキシン類の分解を試みた。この菌は、16rDNA-500配列解析よりPhanerochaete属と類縁関係にある新規株であることが確認され、種々の条件下で、培養を行ったところ、著量のマンガンペルオキシダーゼを分泌することが分かった。たとえば、多量のペプトン類を添加することにより、その生産性は増加し、14U/mLもの活性を有するマンガンペルダーゼを生産することが可能となった。さらに、ダイオキシン類を基質としてこの菌を培養したところ100ng/mLの1,3,7,8-テトラクロロダイオキシンおよび1,2,7,8-テトラクロロジベンゾフランを1週間の培養で、60%以上分解させることに成功した。これは、従来から報告されている菌株より分解速度が速く、また高塩素化ダイオキシンを容易に分解させることができることから、今後の研究が期待される。 3.上記菌株は、ストレスに弱く培養が困難であるため、新たな大量培養法の確立が必要である。本研究では、効率的に培養できる方法として回転円板型バイオリアクターによる方法を検討中である。
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