2004 Fiscal Year Annual Research Report
マウスES細胞の胚様体形成に及ぼす物理化学的因子の解明
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15560675
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
黒澤 尋 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助教授 (10225295)
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Keywords | 胚様体 / ES細胞 / 未分化維持 / アルカリフォスターゼ / 低酸素 / 高酸素 / 分化誘導 / 心筋 |
Research Abstract |
ES細胞は再生医療の素材として期待されており、その増殖及び分化を制御する技術の確立が求められている。本年度は、マウスES細胞の増殖及び分化に深く関わると考えられる酸素に注目し、細胞増殖、胚様体(EB)形成、分化誘導に対する酸素の影響を検討した。 マウスES細胞(129SV)をインキュベータ内の酸素分圧(pO_2)を5、20、40%に変化させて培養した。培養は、白血病阻害因子(UF)存在下及び非存在下で行い、それぞれの細胞数の計測及び細胞未分化性の指標としてアルカリフォスファターゼ(AP)活性の測定を行った。また、種々の酸素分圧下でEB形成を行い、EB形態及びEBを構成する細胞数を計測した。さらなる分化誘導のためEBの接着培養を行い、心筋細胞等の発生を確認した。 ES細胞は、20〜40%-pO_2下において良好に増殖したが、5%-pO_2下では増殖が悪く、特に、LIF非存在下では、5%-pO_2下での増殖抑制が顕著であった。細胞当たりのAP活性は、酸素分圧が高いほど維持されており、酸素が不足すると細胞増殖が低下し、分化が進む傾向があることが示唆された。いずれの酸素分圧下でもEB形成がみられたが、5%-pO_2で形成されたEBは小さく、構成細胞数も少なかった。細胞同士の接着も弱く、培養5日目になるとEBが崩れはじめた。これに対し、40%-pO_2下で形成したEBは、細胞接着が強く、細胞密度が最も高くなった。このため、40%-pO_2下で形成したEBは、接着培養に移しても細胞の拡がりが遅く、E8の3次元構造の一部が最後まで残存した。心筋の発生は、酸素分圧が高い方が観察されやすく、拍動も強く現れた。EB形成と接着培養を5%-pO_2下で行ったものは、拍動の出現数が少なかった。
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