2004 Fiscal Year Annual Research Report
超好熱菌由来の高度耐熱性アルドラーゼによるキラルポリオールの合成
Project/Area Number |
15560677
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
櫻庭 春彦 徳島大学, 工学部, 助教授 (90205823)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 敏久 徳島大学, 工学部, 教授 (10093345)
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Keywords | アルドラーゼ / 超好熱菌 / 古細菌 / DERA / Aeropyrum pernix / 2-deoxyribose-5-aldolase / キラルポリオール / アーキア |
Research Abstract |
好気性超好熱菌Aeropyrum pernixのゲノム情報から得られたアミノ酸配列の相同性に基づき、超好熱菌に初めて2-デオキシリボース-5-リン酸アルドラーゼ(DERA)のホモログを見出した。DERAは、抗ウイルス剤や高脂血症治療薬の原料として有用な2-デオキシリボヌクレオシドなどのキラルポリオール構築への利用が期待されている。しかしながら、これまで見出されたDERAはすべて常温生物由来のものであり、不安定で酵素の精製および大量の酵素の取得が困難である点、基質であるアルデヒドによって変性する点などの問題から、工業的な利用には至っていない。本研究では高い安定性が期待できる超好熱菌の酵素を用いて、現在まで酵素の不安定性から応用が困難であったDERAの機能開発を行うことを目的としている。初年度は、A.pernix DERAの機能および構造解析を計画した。本酵素の機能解析を行い、100℃の熱処理でも失活しない高度耐熱性を示すことを明らかにした。また、本酵素を結晶化し、2.0Åの分解能でX線結晶構造解析に成功した。これはアーキア由来のアルドラーゼの構造としては最初の解析例となる。すでに構造が解かれていた大腸菌由来の酵素の構造と比較したところ、サブユニットのフォールディングは非常に似ていたが、オリゴマー構造のアレンジメントは全く異なっており、このため、サブユニット間の疎水性相互作用が著しく増強されていることが判明した。このサブユニット間の相互作用が、本酵素の高い安定性に寄与していると考えられる。また、本酵素の基質結合に関与するアミノ酸残基の同定に成功した。次年度は、超好熱菌由来DERAが常温で実用可能であることを明らかにし、さらにヒドロキシブチルアルデヒド誘導体、デオキシリボース誘導体、トリデオキシヘキソース誘導体の合成反応においては大腸菌由来の酵素より格段に優れていることを見出している(特願2004-095263)。
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Research Products
(3 results)