2003 Fiscal Year Annual Research Report
新奇なγ-アミノ酪酸オキシダーゼを用いるγ-アミノ酪酸の高感度測定法の開発
Project/Area Number |
15560680
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
松本 邦男 神奈川工科大学, 工学部, 教授 (40291752)
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Keywords | γ-アミノ酪酸オキシダーゼ / γ-アミノ酪酸 / GABA / Penicillium |
Research Abstract |
平成15年度の研究では、環境にやさしいγ-アミノ酪酸(GABA)の新しい測定法を開発することを前提に、新奇なGABAオキシダーゼを微生物から発見することを目的として本酵素のスクリーニングを実施した。 全国から土壌を集め、0.1%GABA含有寒天平板培地を用いる集積培養法によりGABA資化菌を選別した。その結果、土壌24サンプルからGABA資化菌227株(細菌:168株、糸状菌:59株)を取得した。次に、GABA資化菌を一定条件下で液体培養(0.1%GABA、0.05%酵母エキス、および無機塩からなる培地)し、GABA分解能について薄層クロマトグラフィーを用いて調べた。その結果、GABA資化菌166株(細菌:132株、糸状菌:34株)に分解能を確認した。これらの分解菌を上記の培地で液体培養し、菌体内外におけるGABAオキシダーゼの有無について検討した。その結果、細菌1株と糸状菌2株にGABAオキシダーゼ活性を確認した(菌体内酵素)。最も活性の高かった糸状菌を同定した結果、Penicillium属に属する糸状菌で、本株をPenicillium sp.KAIT-M-117と名づけた。 本菌株の培養菌体から酵素を抽出し、セルフリー下でトリンダー試薬(酵素反応で生成するH_2O_2を確認)を用いて酵素活性を測定した結果、酵素反応によりGABAからH_2O_2が生成することを確認し、世界で初めてGABAオキシダーゼを発見することに成功した。 本酵素反応から予想される生成物、コハク酸セミアルデヒドとアンモニアも、それぞれ高速液体クロマトグラフィーとアンモニア測定キットを用いて確認し、本酵素は酸素存在下でGABAを酸化し、コハク酸セミアルデヒド、アンモニア、およびH_2O_2を生成する反応を触媒する酵素であることを明らかにした。
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