2005 Fiscal Year Annual Research Report
新奇なγ-アミノ酪酸オキシダーゼを用いるγ-アミノ酪酸の高感度測定法の開発
Project/Area Number |
15560680
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
松本 邦男 神奈川工科大学, 工学部, 教授 (40291752)
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Keywords | γ-アミノ酪酸オキシダーゼ / γ-アミノ酪酸 / GABA / 食品分析 |
Research Abstract |
平成17年度の研究では、本研究で発見された土壌微生物KAIT-M-117株が産生するγ-アミノ酪酸オキシダーゼ(以下、GABAオキシダーゼと略)を用いたGABAの測定について実施した。 KAIT-M-117株を、炭素源・窒素源として0.2%GABAを含む液体培地で、10L容ジャーファーメンター(30℃、200rpm)を用いて培養した。培養後、菌体から粗酵素液を抽出した。粗酵素液を硫安塩析、Octyl-Sepharose、DEAE-Sepharose、およびハイドロキシアパタイトカラムを用いて精製し、比活性11.5U/A_<280>(精製倍率:1170倍)、活性収率13%のほぼ電気泳動的に均一な精製酵素を取得した。精製酵素の分子質量は約470kDa、サブユニットは約90kDaで本酵素は5量体と推定された。本酵素のK_m値は2.0×10^<-2>、等電点は8.95であった。また、本酵素はGABAがないと酵素を産生しない誘導酵素(菌体内酵素)であった。 食品分析に適応可能かどうかを調べるために、天然のアミノ酸に対する基質特異性について調べた結果、GABAに対し高い基質特異性を示し、天然アミノ酸にはほとんど作用しなかった。さらに、酵素の固定化について検討した結果、アミノプロピル化した耐火レンガや多孔性ガラスビーズ上にグルタルアルデヒドを用いる架橋法で固定化できた。しかし、固定化率が悪く改善の余地が今後の課題になった。食品の一つであるヨーグルト中のGABA測定に本酵素を応用した結果、商品表示とほぼ一致した値を得た。GABAの測定範囲は1〜3mMであった。 以上の結果、本年度の成果として、酵素をほぼ単一に精製でき酵素化学的性質を明らかにできた。さらに、本酵素を用いる実試料(食品)中のGABA測定が可能となった。
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