Research Abstract |
Dipalmitoyl phosphatidylcholine (DPPC)とコレステロールを主成分とするリポソーム(LUV,SUV)に,マレイミド基を介してイミノチオランでチオール化した抗原(チトクロムcを用いた)をスペーサー長の異なる6種類の架橋試薬(GMBS,EMCS,HMCS,SMPB,MBS,KMUS)を用いてカップリングし,抗原結合リポソームの調製を行った。GMBSを使用した時に最も多くの抗原結合量が得られることがわかった。マーカーとして蛍光試薬(CF)を封入した抗原結合リポソームを用いて,Liposome immunosorbent assay (LISA)の競争法により抗原測定を実施し,その測定特性を明らかにした。 トレーサーとして用いるDNA封入抗原結合リポソーム調製は,プラスミドDNA(P-BluescriptII Ks+)を用いて行い,DNAが効率よくリポソーム(LUV,SUV共に)内に封入されることを確認した。プラスミドDNA封入個数は,60nmSUV,100nmLUV,200nmLUV,400nmLUVを用いたときに,それぞれ60,280,640,2100個であった。このDNA封入リポソームをβGalactopyranosideにより破壊し,MCSの236bpをPCR増幅し,Hoechst33258を加えて蛍光強度を測定したところ,脂質などに阻害されることなく,定量的にDNAが増幅された。 このプラスミドDNA封入抗原結合リポソームを用い,LISAの競争法により抗原測定を実施し,1amol/mlの検出限界を達成した。この検出限界は,ELISAと比べて1,000,000倍低く,蛍光物質をマーカーに用いたLISAに比べて,1000倍低い。したがって,本法は,微量物質の迅速測定に有用である。
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