2003 Fiscal Year Annual Research Report
稼動中において常時破壊予測可能な神経網機能を具備した溶接構造物に関する研究
Project/Area Number |
15560695
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
勝田 順一 長崎大学, 工学部, 助教授 (20161078)
|
Keywords | モニタリング / 溶接構造物 / 疲労損傷 / 疲労き裂 / 疲労き裂伝播 / 圧電素子 |
Research Abstract |
本研究では,構造物が受ける外力を正確に把握して疲労損傷発生や疲労寿命を予測することが不可能である,溶接止端部に発生する疲労き裂を対象に,『この構造物の,ここに,今,損傷があるか,ないか』を明確にすることで,溶接構造物の安全性を確保することを目的にしている。本年度得られた成果は,下記のとおりである。 (1)歪ゲージによる検知領域の確認と最適なセンサ設置間隔の把握 試験片幅方向にビード溶接をした幅広試験片を用いて疲労試験を行った。その結果,今回用いた試験片幅程度では,貼付した試験片幅方向の全ての歪ゲージがいずれかの箇所から発生した極微小疲労き裂にも反応しており,60mm程度離れていても歪ゲージで検知可能であることを確認した。 (2)圧電セラミック素子,圧電フイルムによる損傷程度検知の可能性の検討 圧電セラミック素子,および圧電フィルムを用いて,疲労き裂発生検知が可能か否かを試験した。その結果,歪ゲージより格段に早い段階で疲労損傷発生に対して出力電圧が変化することを確認した。さらに,その出力電圧振幅は,試験片の変形速度に依存しており,平均荷重に対応した出力ではないことも確認した。なお,圧電セラミック素子に比べて圧電フィルムの出力電圧値は小さく,より大きな寸法のセンサとして使用する必要があることを明らかにした。 (3)圧電素子出力の損傷発生と伝播の評価法の開発 疲労き裂伝播試験片に圧電素子を貼付して,伝播試験中の出力電圧の変化を調査した。その結果,疲労き裂先端が閉口現象を生じた場合には,荷重変動に対応して変動している出力電圧の波形に棚が生じていることを確認した。これは,疲労き裂先端に貼付した歪ゲージで計測したき裂先端ヒステリシスループを分析して同じ荷重値において棚が生じていることで確認した。このことで,複雑で高精度な計測をしなくてもき裂先端閉口荷重を把握できる可能性があることを明らかにした。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] 勝田順一, 河野和芳, 熊纓, 楠葉貞治: "溶接止端部からの微小き裂の検知と破壊評価"構造物の安全性および信頼性(JCOSSAR2003論文集). Vol.5. 597-604 (2003)