Research Abstract |
合理的なリサイクル社会を構築するためには,循環資源を収集・運搬する静脈物流システムをいかに効率的なものにするのかが重要な課題となっている。本年度の研究では,廃棄物の処理やリサイクルを支える静脈物流に焦点を当て,施設配置問題及び輸送問題を解くための最適化手法の検討や,静脈物流システムの効率性に関する評価を試みた。 まず,家電リサイクルの回収システムにおける施設配置問題及び輸送問題を解くため,線形計画法を内在化させた遺伝的アルゴリズム(GA)を提案し,その有用性を検証した。具体的には,まず家電リサイクルの回収システムを発生ノード,中継ノード及び最終ノードから構成されるネットワークモデルとして定式化した上で,東京都を対象としたケーススタディを行い,対象地域に回収拠点をいくつ,どこに設ければ望ましいのか,また,どの施設に,どれくらい運搬すれば良いのかといった計画代替案を提示した。 また,資源循環型社会の構築や環境保全対策の観点から,上水道及び下水道の汚泥処理処分システムの統合管理を提案した。具体的には,まず浄水場で発生した汚泥(浄水発生土)を下水処理場へ運搬するための輸送方法を検討した上で,処理,有効利用,埋立処分の各過程を含めた統合管理システムのモデル化を行った。そして,上・下水道の汚泥処理・処分に関わる経済性に着目し,各々の汚泥処理を(a)従来通り個別に行う場合(以下,個別方式と呼ぶ)と,(b)汚泥統合管理システムの下で展開される場合(以下,統合方式と呼ぶ)との費用試算を行った。統合方式における浄水発生土の輸送方法として,車両輸送及び専用管渠を想定し,個別方式の総費用と比較した結果,浄水場が小規模で,かつ下水処理場までの輸送距離が短い時には,統合方式が個別方式に比べ,経済的に有利であること等を示した。
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