2003 Fiscal Year Annual Research Report
通電処理装置付き糸状菌バイオリアクターによるビートパルプからの有用物質生産
Project/Area Number |
15560712
|
Research Institution | College of Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
徳田 宏晴 東京農業大学短期大学部, 醸造学科, 講師 (20237069)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中沢 守 東京農業大学, 短期大学部・醸造学科, 助手
中西 載慶 東京農業大学, 短期大学部・醸造学科, 教授 (70172351)
|
Keywords | ビートパルプ / 加水分解 / 固定化糸状菌 / アラビノース関連糖 |
Research Abstract |
1.ビートパルプ高分解性糸状菌のスクリーニングと同定 全国各地より採取した土壌を対象として、ツァペック改変寒天培地(培地組成:ビートパルプ20g/L、NaNO_3 10g/L、K_2HPO_4 1g/L、MgSO4・7H_2O 0.5g/L、KCl 0.5g/L、FeSO_4・7H_2O 0.1g/L、および寒天20g/L)を用いた平板塗抹法により、ビートパルプ高分解性糸状菌のスクリーニングを行つた(1次スクリーニング)。次に1次スクリーニングにおいで生育が良好だったコロニーより菌を釣菌し、これを液体培養(使用培地の組成は、上記培地から寒天を除いたもの)する事によって得られた培養濾液を用いてビートパルプの加水分解を行った。加水分解反応による生成糖を液体クロマトグラフィーにより分別定量し、アラビノース関連糖の生成量が多い糸状菌株No.158を得た。本菌をポテト寒天培地を用いて培養した後、その形態を顕微鏡で検鏡し、「2分式検索表」^<1)>にしたがって同定を行ったところ、Aspergillus属菌であることが明らかとなった。現在、種を決定するための実験に着手中である。 2.ビートパルプ高分解性糸状菌の固定化とそのビートパルプ分解特性 上述の検討により得られたビートパルプ高分解性糸状菌がAspergillus属菌であったことから、本菌の固定化法としては、気相生育固定化法^<2-4)>を用いることとした。その結果、固定化菌調製用培地(培地組成:ビートパルプ10g/L、キシラン(オーツ)4g/L、グルコース6g/L、ペプトン15g/L、酵母エキス9g/L、麦芽エキス9g/L、コーンスティープリカー3g/L、およびKH_2PO_4 10g/L)を用い、レーヨン製不織布(日本バイリーン社製)を担体として24時間無菌空気中で菌体を培養することによって、良好な固定化菌体を得ることが出来た。 本固定化菌体によって、微粉砕(粒径180μm以下)したビートパルプの加水分解を試みたところ、反応の至適温度は40℃、ビートパルプの分解率は約70%であり、ビートパルプ中の潜在アラビノースの90%以上を分解抽出可能であった。しかし、バッチ法による繰り返し加水分解反応を行うと、反応を繰り返すごとに固定化菌体のビートパルプ分解活性が低下したため、現在、固定化菌体の活性安定化条件を検討中である。 引用文献:1)宇田川俊一他、「カビの分離・培養と同定」、医歯薬出版、東京、1983、p.50.2)徳田他:醸造学会誌:86(9)、689、(1991).3)Tokuda et al.:Biosci.Biotech.Biochem.,59(4),753(1995).4)徳田他:醸造学会誌:97(10)、727(2002).
|