2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15560715
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上田 良夫 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30193816)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 雅弘 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50029287)
大塚 裕介 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70294048)
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Keywords | Me V級負イオンビーム / 照射損傷 / 水素・炭素混合ビーム / タングステン / ブリスタリング |
Research Abstract |
原子力機構のMeV級負イオンビーム照射実験装置(MTF)を利用して、タングステンに0.3-3.0dpaの照射損傷を与え、その後水素・炭素混合イオンビームを照射して、タングステン中の照射欠陥が水素の吸蔵や水素が粒界に蓄積して発生するブリスタリングの様子を調べた。MTFでは、700keVの負イオンビームを照射した。L.K.Keysらによれば、中性子照射による照射損傷にはいくつか回復ステージがあり、250℃から400℃では格子間原子が拡散して空孔と再結合して、点欠陥が消滅する(ステージ3)。さらに650℃から1000℃程度に昇温すると格子間原子のクラスタが分解する(ステージ4)。700keVの負イオン照射時には、ステージ3の回復を避けるために表面温度を200℃に制限した。その後、試料温度を200℃に保って、水素・炭素混合ビームを照射し、ブリスタの形成状況を調べた。高エネルギーイオン未照射材では、直径10ミクロン以下のブリスタが多く発生したが、高エネルギーイオン照射材では、このようなブリスタはほとんど発生しなかった。また、照射材を400℃と870℃でそれぞれアニールして、水素・炭素混合ビーム照射を行ったが、アニールなしの照射材と大きな違いはなかった。さらに、未照射材のブリスタの断面を収束イオンビーム(FIB)装置で観察したところ、直径10ミクロン以下のブリスタは、表面から1-2ミクロン付近に亀裂が生じていた。700keVの水素負イオンビームの飛程が約3ミクロンであることを考えると、水素の負イオンビームの飛程内では、何らかの理由でブリスタリングを引き起こす亀裂が生じにくくなったと解釈出来る。また、この要因は、870℃までのアニーリングによっても変化しないことが分かった。
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Research Products
(1 results)