2005 Fiscal Year Annual Research Report
非等方アブレーション圧力により形状変化するペレットと電磁場との相互作用
Project/Area Number |
15560719
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
石崎 龍一 核融合科学研究所, 理論シミュレーション研究センター, 助手 (60301727)
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Keywords | ペレット / アブレーション / MHD / タイヤチューブ力 / ドリフト / プラズモイド |
Research Abstract |
アブレーション雲が低磁場側へドリフトすることを利用して、トカマクでは粒子補給においてよい成果が得られているのに対して、LHDではそのような成果は得られていない。そこで本年度はトカマクとヘリカルにおけるアブレーション雲の運動の違いについての評価を行った。 まずドリフト運動の本質を明らかにするため、アブレーション過程を含むMHDシミュレーションをトカマクプラズマにおいて行った。初期条件としては、高密度のプラズモイドが磁気軸よりも内側に静止しているとした。このようなプラズモイドが背景プラズマにより加熱されると、急激に圧力が上昇する。一方で、プラズモイドは磁力線方向に膨張するため、密度は減少する。加熱は密度に大きく依存するため、密度が減少すると加熱も減少し、一旦上昇した圧力は減少に転じる。しかし、最大で背景プラズマの150倍以上の圧力に達するため、プラズモイドは低磁場側へドリフトする。このドリフト運動はプラズモイドが非常に大きな擾乱をもつことと、磁場が曲率をもつことによって生じるタイヤチューブ力によるものである。また、プラズモイドの圧力、密度はfast compressional Alfven waveによりAlfven transit time程度の周期で振動することも明らかになった。このシミュレーションは境界条件を完全導体とした理想MHDシミュレーションであるので、プラズモイドの運動はpoloidal fieldにより妨げられ、境界よりも手前でドリフト運動は停止してしまうことも示せた。 一方、ヘリカルにおいては最初の取り組みであるため、直線ヘリカルプラズマにおける、ヘリカル対称性をもつプラズモイドの運動について評価した。ただし、ここではプラズモイドは初期擾乱として与え、加熱は考慮していない。磁気軸の磁場よりも高磁場側、および低磁場側にプラズモイドを配置した場合について調べたが、両者ともに、トカマク同様低磁場側へドリフトすることが明らかになった。実際のプラズモイドはヘリカル対称性をもたないうえ、磁力線に沿って膨張する。磁力線上の磁場強度は、ポロイダル方向、およびトロイダル方向に周期的に変化するため、プラズモイドのある部分は磁気軸方向にドリフトし、別の部分は磁気軸とは逆方向にドリフトする。従って初期にプラズモイドを高磁場側においた場合と低磁場側においた場合の差は縮小されると考えられる。このことはLHDにおいて、どの場所からペレットを入射しても差が見られないという実験結果と矛盾しない。しかし、更に詳細を明らかにするためには、ヘリカル対称性のないプラズモイドの解析が必要である。
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