2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15570025
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
高村 典子 独立行政法人国立環境研究所, 生物多様性研究プロジェクト, 総合研究官 (80132843)
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Keywords | 生態機能 / 窒素浄化 / 水生植物群落 / 多様性 / 脱窒 / 霞ヶ浦 / 自然再生 / 沿岸 |
Research Abstract |
霞ヶ浦木原の池の植生群落を対象として、8月中旬と下旬に自然の水生植物群落の脱窒活性を測定する手法の検討を行った。底がオープンである直径約30cm、高さ1.2〜1.7mの円筒形透明アクリルチャンバーを作成した。底の20cmを自然の植生をなるべく損なわないように底泥に差込み、それ以下に潜らないような羽をつけた。直径30cmの植生群落とその上20-40cmの気相を取り込み、チャンバー内の気温、水温、溶存酸素、pH、ORPを時間軸で測定できるようにセンサーを取り付けた。気相と液相は自然の状態で攪拌するようにくふうした。こうしたチャンバーを各植生別に4基準備し、そのうちの2基には実験開始時にアセチレンガスを注入した。その後、3時間間隔で環境項目、水中の各種栄養塩濃度および亜酸化窒素濃度の日変化を測定した。 亜酸化窒素は水中の硝酸態窒素濃度が低い時期では低く抑えられていた。従って、植生の繁茂が最盛期である夏の水相での脱窒活性は低いと推察された。硝酸態窒素を添加したチャンバーでは、3〜6時間後(午後3〜6時)および18〜24時間後(午前6〜12時)に水相から10ppmを上回る亜酸化窒素が検出された。別にフラスコレベルで測定した脱窒活性では、植物体より底泥で最も高い活性が得られた。自然の植生帯での測定では、植生による違いは明確ではなかった。チャンバー間の再現性が悪く、チャンバー設置時の底泥の撹乱状況が値を左右している可能性が示唆された。次年度は自然の植生環境を再現できるようなチャンバー設置の手法についても検討を加えた上で、実験手法の確立を目指す。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] Takamura, N., Kadono, Y., Fukushima, M., Nakagawa, M., Kim, BH: "Effects of aquatic macrophytes on water quality and phytoplankton community in shallow lakes."Ecological Research. 18. 381-395 (2003)
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[Publications] Kim, BH, Choi, MK, Takamura, N.: "Phytoplankton preferences of young silver carp Hypophthalmichthys molitrix, in hypereutrophic mesocosms during a warm season."J.Freshwater Ecology. 18, 1. 69-77 (2003)
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[Publications] Makino, W., Mikami, H., Katano, N., Nakagawa, M., Takamnura, N.: "Biological productivity of Lake Towada, a north temperate, oligotrophic kokanee-fisher lake."Limnology. 4. 79-90 (2003)
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[Publications] Kim, B.H., Han, M.S., Takaumura, N.: "Effects of fish introduction on the length of the tail of cryptomonads in mesocosm experiments."Oecologia. 136. 73-79 (2003)
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[Publications] 柚木秀雄, 高村典子, 西廣淳, 中村圭吾: "浚渫土に含まれる水生植物の散布体バンクとバイオマニピュレーションを活用して霞ヶ浦湖岸に沈水植物群落を再生する試み"保全生態学研究. 8. 99-111 (2003)
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[Publications] Jang, M.H., Ha, K., Jao, G.J., Takamura, N.: "Toxin production of cyanobacteria is increased by exposure to zooplankton."Freshwater Biology. 48. 1540-1550 (2003)
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[Publications] 高村典子: "ため池の保全を考える"水環境学会誌. 26,5. 269-274 (2003)
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[Publications] 高村典子: "十和田湖で起きた生能系の変化と健全な湖沼生態系の維持管理について"海洋と生物. 149. 476-484 (2003)
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[Publications] 高村典子: "バイオマニピュレーション-隔離水界を用いたアオコの制御と生態系の回復力の評価(島谷幸宏・細見正明・中村圭吾編「エコテクノロジーによる河川・湖沼の水質浄化-持続的な水環境の保全と再生-」)"ソフトサイエンス社. 54-64 (2003)