2004 Fiscal Year Annual Research Report
景観生態学的手法および分子生態学的手法を用いた都市内残存緑地の機能評価
Project/Area Number |
15570026
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Research Institution | Kitakyushu Museum of Natural History and Human History |
Principal Investigator |
真鍋 徹 北九州市立自然史, 歴史博物館・自然史課, 学芸員 (90359472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 稔 北九州市立自然史, 歴史博物館・自然史課, 学芸員 (20165062)
内藤 和明 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 講師 (50326295)
伊東 啓太郎 九州工業大学, 工学部, 助教授 (10315161)
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Keywords | 景観生態 / 分子生態 / ハビタット機能 / 孤立化 / GIS / 稚樹・実生集団 / AFLP分析 / 小型哺乳類相 |
Research Abstract |
1 景観構造の時間的変遷のより詳細な解析 調査対象域における1961年、1974年および2000年撮影の空中写真をオルソフォト化し緑地面積の時間変化を解析した。その結果、1961年対する1974年の樹林地面積は約75%であったが、2000年には約85%と増加していた。これは主に、公園化された地域における植樹によるもので、緑地の量的変化と質的変化は必ずしも同義では無いことが判明した。 2 小型哺乳類群集の組成調査 自動撮影装置を使用し、調査対象域における小型哺乳類相の把握を試みた。その結果、ある程度の面積を持った緑地では、アカネズミ等の齧歯類のみならずアナグマやテン等の小型哺乳類が頻繁に撮影され、これら小型哺乳類の棲息地として機能していることが示唆された。 3 樹木群集の構造調査および孤立林における樹木群集の構造・成因解析 稚樹(0.3m≦樹高<2m)および実生(樹高<0.3m)集団の構造調査を実施した。その結果、林の上層での優占状況と稚樹・実生集団の密度との関係は、調査地間・樹種間で異なっていた。例えば、コジイでは、上層での優占度が高くかつ豊富な稚樹・実生集団を形成していた場所以外に、上層での優占度に比して稚樹・実生集団の密度が低い場所が存在した。このように孤立林における樹木個体群の維持状況は、種特有の更新特性のみならず生育地の残存面積や他孤立林との距離等も影響していることが示唆された。 4 主要樹種の遺伝構造の解析 孤立林が持つ主要樹種に対する生育地機能を遺伝構造から評価するための手法を検討したところ、AFLP分析法がより多くの場所・種に対する解析に有益であることが判明した。
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