2005 Fiscal Year Annual Research Report
景観生態学的手法および分子生態学的手法を用いた都市内残存緑地の機能評価
Project/Area Number |
15570026
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Research Institution | Kitakyushu Museum of Natural History and Human History |
Principal Investigator |
真鍋 徹 北九州市立自然史, 歴史博物館・自然史課, 学芸員 (90359472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 稔 北九州市立自然史, 歴史博物館・自然史課, 学芸員 (20165062)
内藤 和明 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 助手 (50326295)
伊東 啓太郎 九州工業大学, 工学部, 助教授 (10315161)
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Keywords | 景観生態 / 分子生態 / ハビタット機能, / 孤立化 / GIS / 実生・稚樹集団 / AFLP分析 / 小型哺乳類相 |
Research Abstract |
1 景観構造の変遷に関与した要因の分析 緑地面積の変遷に関連する要因を解析した結果、低標高域の緩斜面に位置する小面積の樹林が開発され易い傾向が判明した。一方、緑地面積の保全には法令による土地利用規制が効果的であることが判明した。 2 小型哺乳類群集の構造調査 自動撮影装置を用いて小型哺乳類群集の構造を調査した結果、広面積で連続性の高い緑地では、種数が多く、密度も高いと判断された。一方、調査対象緑地中、最小面積で最も孤立した緑地でも、テンなどの動物が生息しており、当該域での緑地の分断は小型哺乳類の移動を強く制限していないと考えられた。 3 主要樹種の遺伝構造の解析 シロダモを調査対象種とし、AFLP分析により調査対象緑地における稚樹集団の遺伝的多様性を解析した結果、分断化による個体群の遺伝的多様性の低下は認められなかった。しかし、多くの緑地で遺伝的に類似した数個体からなるグループが形成されており、比較的狭面積を単位として同一あるいは互いに近い遺伝的組成を有する親個体に由来する稚樹がパッチ状に分布している可能性が示唆された。 4 都市緑地の生育地機能評価 種組成・密度を尺度とした場合、調査対象緑地は、多くの小型哺乳類の生息地機能を現有していると考えられた。しかし、齧歯類がほとんど生息していない緑地が存在し、そこでは齧歯類と種子を採食されるシイの実生定着数が極めて多かった。一方、個体群の維持状況および遺伝的多様性を尺度とした場合、調査対象域緑地は、主に鳥類やテン等の小型哺乳類によって種子を散布されるクスノキ科等の樹種に対しては、比較的高い生育地機能を内包しているものと考えられた。
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Research Products
(3 results)