2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15570046
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
窪川 かおる 東京大学, 海洋研究所, 助手 (30240740)
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Keywords | ナメクジウオ / 下垂体 / 脳 / EST / 遺伝子 / 進化 / ステロイド / 内分泌 |
Research Abstract |
平成15年度はナクジウオの神経管500個体分から作成したライブラリーをEST解析した結果をまとめ、さらに数種の遺伝子についてより詳細に研究を進めた。ESTは7,863個のcDNAの配列を読み、3,108個の遺伝子が何らかのホモログであった。コピー数の大きいものはFerritin、Tubulin、Calmodulin、Keratinであった。Ferritinが多いことは神経管の特徴であるといえる。 神経管特有な遺伝子で内分泌調節にも重要な役割を持つ遺伝子としては、Annexin、GABA-A receptor、ILP receptor、Amyloid、RFamide、Neuropeptide Y、Calcitoninなどが見られた。その数が少ないことは、発現の少なさを反映しているものと考えられる。材料は筋肉をわずかに含むのみで神経管だけであり、その遺伝子のプロファイルはナメクジウオの神経管での遺伝子発現をある程度反映している。また、P450代謝酵素がステロイド代謝に関係するグループについて得られ、神経管にいわゆるニューロステロイドが存在する可能性が得られた。ホヤのゲノムからはP450代謝酵素およびエストロゲン受容体が得られておらず、ナメクジウオが脊椎動物に進化上さらに近い証拠の一つになろう。ナメクジウオの生殖腺にもステロイド代謝系が存在するはずであり、ナメクジウオの卵巣と精巣で性ステロイドを同定するために、RIAで測定してみたところ、プロゲステロン、エストロゲンが両器官に存在した。アンドロゲンは非常に低かったが、テストステロン抗体では測定できないテストステロン代謝物が主たるアンドロゲンである可能性がある。繁殖期と非繁殖期との差が認められた。平成16年度はこれらの結果から神経管の内分泌系ペプチドおよび生殖を制御するペプチドに焦点を絞ることにする。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] T.Mizuta: "Non-synchronous spawning behavior in laboratory reared am phioxus Branchiostoma belcheri"J.Exp.Mar.Biol.Ecol.. (in press). (2004)
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[Publications] K.Kubokawa: "Gonadal state of wild amphioxus populations and spawning success in captive conditions during the breeding period in Japan"Zoological Science. 20. 889-895 (2003)
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[Publications] N.Takada: "Immunoreactivity for progesterone in the giant Rohde cells of the amphioxus, Branchistoma belcheri. Gen. Comp. Endocrinol"Genaral and Comparative Endocrinology. 132. 379-383 (2003)