2003 Fiscal Year Annual Research Report
超微細構造から紐解くシロイヌナズナの子葉細胞内オルガネラの機能解析
Project/Area Number |
15570048
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
林 八寿子 新潟大学, 理学部, 助教授 (20228597)
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Keywords | 電子顕微鏡 / 凍結固定法 / 液胞 / ER body / 小胞体 / タンパク質輸送 / シロイヌナズナ / 子葉 |
Research Abstract |
(1)各組織別の凍結固定による試料作成 いままでは液体窒素温度で凍結する高圧凍結装置(HPM-110)を使用していたが、本年度は、より鮮明な像から新たな情報を得ることを目的として、液体ヘリウム温度での凍結をおこなう急速ヘリウム凍結装置(HIF-4K)を用いた試料作成を試みた。スタンダードな条件、サンプルセッティング方法の改良、凍結時のサンプルを支える支柱のスプリング調整など、よりよい条件へと改良を行いながら合計5回の固定を試みたが、今のところ、HIF-4Kを用いた植物細胞の凍結固定試料作成は、最適固定領域の検出が難しいこと、最適凍結固定領域が浅いことなどから、諦めざる得ない状況である。 (2)ER body変異株の解析 小胞体残留シグナルをもつ緑色蛍光タンパク質(HDEL-GFP)を発現させたシロイヌナズナから作成したER body変異株の解析をおこなっている。ER bodyを持たないnail変異株の解析から、β-グルコシダーゼ(PYK-10)がER bodyの主要な構成物質であることが明らかとなった(論文:2003)。また、蛍光顕微鏡下での観察では、ER bodyが細胞内に分散せず核の周辺に集まってみられる変異株には、ER bodyが巨大化しているものと通常のER bodyが単に凝集しているものとの2系統に分けられることが電子顕微鏡解析から明らかとなった。蛍光顕微鏡観察では、HDEL-GFPを蓄積した構造体が円柱状でなく通常より小さな球状に見られる株については、電子顕微鏡解析の結果、表皮細胞内には通常と同じ大きさのER bodyが存在していること、また、正常細胞とは異なり、小さな液胞が多数存在していることが明らかとなり、HDEL-GFPがER bodyに蓄積しない変異株である可能性が示唆された。現在、GFPとPYK-10の蓄積部位を免疫電子顕微鏡法を用いて検討している。
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Research Products
(1 results)