2004 Fiscal Year Annual Research Report
授乳における心房性ナトリウム利尿ペプチドの生理的意義
Project/Area Number |
15570049
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
小林 裕太 島根大学, 総合科学研究支援センター, 助教授 (40162028)
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Keywords | 心房性ナトリウム利尿ペプチド / オキシトシン / 心房 / 乳腺 / VNP / マウス / アドレノメデュリン2 / 交感神経系 |
Research Abstract |
ICRマウスの心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)血中値は、妊娠後期(18日)には低値を示した。血中ANPは出産直後には非妊娠対照動物より上昇し、その後の授乳中さらに上昇して、授乳15日目にピークとなった。すなわち、妊娠後期には、ANPの分泌低下が起こり、出産で著明な分泌増加が起こる。その後授乳中は分泌と合成がともに増加したと考えられる。出産時並びに授乳中にはオキシトシン(OXT)分泌が起こること、乳腺にもANP受容体が存在することから、脳下垂体のオキシトシン-心房のANP-乳腺という新しいホルモン軸が示唆された。 一方、ANPに関しては、ANPファミリーペプチドの系統発生とその血管作用についても研究を進め、魚類起源のVNPによるイヌ摘出冠血管輪状標本の強い血管弛緩作用を示した。ANPファミリーペプチドは魚類レベルで一度分子拡散を示したペプチドであるが、今回の仮説のように、ほ乳類に至って、乳腺というほ乳類のみに発達した器官の調節因子として新たな機能を獲得したと考えられ、ホルモンとその受容体系の進化を考える上でも興味深い。また、妊娠維持とも関連するアドレノメデュリン(AM)ファミリーの新規ペプチドAM2が他の血管に比べ、冠血管の拡張に強く関与することも新たに見いだした。 さらに第一染色体にある高血圧関連遺伝子を導入したコンジェニックラットでの血圧上昇機序については、交感神経系の重要性を示唆した。 以上より、心房性ナトリウム利尿ペプチドなどの循環作動性ペプチドと心臓機能および妊娠や授乳との関連は今後さらに研究を進める必要がある。
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Research Products
(7 results)