2003 Fiscal Year Annual Research Report
毛顎動物の系統とボディープランに関する分子進化学的研究
Project/Area Number |
15570078
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
後藤 太一郎 三重大学, 教育学部, 助教授 (90183813)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上島 励 東京大学, 大学院・理学研究科, 講師 (20241771)
加賀谷 安章 三重大学, 生命科学研究支援センター, 助手 (20335152)
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Keywords | 毛顎動物 / ミトコンドリアDNA / 前口動物 / vasa / PL10 |
Research Abstract |
毛顎動物であるヤムシの系統的位置については古くから議論が多い。近年の分子系統学的な見地から、後口動物の一員ではなく、前口動物に近いことが指摘されている。本研究では、まずミトコンドリアDNA(mtDNA)ゲノム配列を指標としてヤムシの系統解析を行った。私たちが行ったカエデイソヤムシEST解析から、ミトコンドリア由来の遺伝子断片を得ているため、これをもとにカエデイソヤムシのゲノムDNAからmtDNAを得た。その結果、1)ゲノム構造は非常に変わっており、他のどの動物とも違う、2)遺伝暗号は前口動物型に近い、3)アミノ酸配列での予備的解析でも前口動物であることを支持しそうであることなどがわかった。しかし、前口動物のうちどれに近いかは特定できていない。次に、形態形成に関わることが知られている遺伝子のホモログを単離し、ヤムシではいかに活用されているか調べようとした。まずカエデイソヤムシ胚からcDNAライブラリーを作成し、これをもとに、背腹決定に関わる遺伝子として知られるdPPおよびdorsalのホモログの単離を試みた。現在のところ単離できておらず、継続中である。また、これと平行して、ヤムシの初期発生に特徴的な生殖質の指標となるであろうvasa遺伝子の単離を試みた。これについてはvasaおよびPL10のホモログが得られた。PL10のホモログ(PgPL10)はヒドラのものと近縁性が高く、このことはヤムシが後生動物の祖先的動物に近いことを示唆する。PgPL10の発現パターンをみたところ、始原生殖細胞に発現することが明らかになった。
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