2003 Fiscal Year Annual Research Report
蘚苔類の分類体系の再検討-頂端分裂細胞の分裂様式と分子データからのアプローチ-
Project/Area Number |
15570079
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
出口 博則 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60117017)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古木 達郎 千葉県立中央博物館, 上席研究員 (40250146)
坪田 博美 広島大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10332800)
山口 富美夫 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60244290)
|
Keywords | コケ植物 / 頂端分裂細胞 / メロファイト / ヒメトロイブゴケ / フタマタゴケ目 / タイ類 / ウロコゴケ亜綱 / 分子系統 |
Research Abstract |
蘚苔類(コケ植物)の分類体系の再検討を,(a)形態・解剖学的アプローチとして頂端細胞の形態と植物体の体制の関係について検証し,頂端細胞の微細形態レベルでの特徴,頂端細胞の分裂面の数と分裂面の転換機構を明らかにし,分類体系を再構築する研究を進めた.取り上げた材料は現行の分類体系では茎葉体制を基本とするウロコゴケ亜綱のコマチゴケ目に属するヒメトロイブゴケで,この仲間は同じ亜綱にある葉状体制のフタマタゴケ目と共通する配偶体形質をもっていて,系統上の位置が議論されている.最近の分子系統学的解析ではさらに,ウロコゴケ亜綱でもゼニゴケ亜綱のものでもないという結果が示されている.タイ類の系統学的研究を進める上でこの種は大綱分類体系を考える上でのキーとなるものである.今年度は頂端細胞の分裂機構と体制づくり,とりわけ半葉状体制の起源と背片形成に着目してその形態を追った.その結果,側片と背片の関係は,ウロコゴケ亜綱で見られる1つの葉にできる2裂片に相当するものであると結論した.5細胞期メロファイトの外界に面した3細胞のうち背側の1細胞が背片に,腹側の2細胞が側片に分化すると判断した. (b)分子系統学的アプローチではrbcL遺伝子を用いた系統解析をタイ類で体制が茎葉状と葉状の中間的体制を示す群であるフタマタゴケ目Metzgerialesについて進めた.フタマタゴケ目の苔類10種についてrbcL遺伝子を用いて系統解析を行った.フタマタゴケ目に含められてきた苔類は,単系統群にならないことが示唆された.今後,種数を増やしてより詳細な系統関係について検討が必要性であるとの認識に至った.
|
Research Products
(1 results)