2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15570083
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
田村 実 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20227292)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
布施 静香 兵庫県立人と自然の博物館, 研究員 (30344386)
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Keywords | 単子葉植物 / キンコウカ / アマドコロ / アロザイム / ISSR / 遺伝子多様度 / 遺伝的分化 |
Research Abstract |
本年度は、キンコウカとアマドコロの遺伝的多様性と分化について重点的に解析した。 1.キンコウカは日本固有種で、東北地方〜近畿地方に分布している。高層湿原と渓流沿いという2種類の異なった環境に生育し、隔離分布している。アロザイム解析の結果、キンコウカという種の遺伝子多様度は、他の他殖性動物媒花の種と同程度であった。しかし、キンコウカは集団間の遺伝的分化が進んでいると推定できた。逆に、キンコウカの各集団内の遺伝子多様度の平均はかなり低かった。特にキンコウカの分布域の南縁付近に位置する近畿地方の3集団では、解析した全ての遺伝子座で対立遺伝子が1つに固定されていて、遺伝子多様度は「0」であった。近畿地方の3集団の遺伝子多様度が「0」である原因は現段階では不明であるが、可能性の一つとして、分布域の縁辺部における遺伝的浮動の影響が考えられる。また、東北地方では、高層湿原の各集団の遺伝子多様度が比較的高い一方、渓流沿いの集団の遺伝子多様度は低かった。この原因も現段階では不明である。 2.隔離分布する植物の研究結果を評価するために、昨年度のソクシンランに加えて、本年度は比較的連続的に分布するアマドコロを解析した。アマドコロという種はヨーロッパ〜日本に広く分布しているが、日本では形態的に多様で、3つの変種が一般的に認められている。アロザイム解析及びISSRなどのDNA解析の結果、日本産アマドコロは、形態的多様性が高いにもかかわらず、キンコウカほど集団間の遺伝的分化が進んでいないと推定できた。逆に、日本産アマドコロの各集団内の遺伝子多様度の平均は比較的高かった。
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