2004 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞とリンパ球に共通に存在する糖鎖抗原による新しい分化・増殖制御の解析
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15570096
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
北島 健 名古屋大学, 生物機能開発利用研究センター, 教授 (80192558)
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Keywords | 神経細胞 / 神経突起形成 / 免疫細胞 / リンパ球増殖 / 糖鎖抗原 / ジシアル酸 / 糖タンパク質 / CD166 |
Research Abstract |
糖鎖が関与する分化・増殖の制御メカニズムの解明を目的として、神経細胞突起形成とT細胞抗原非依存的増殖という異なる現象に注目している。本年度は、以下の課題に取り組んだ。まず、CD166以外のジシアル酸をもつ糖タンパク質として、神経細胞においては、新たにカドヘリン分子が同定された。一方、T細胞については、量的に厳しい中いくつかの候補タンパク質を絞り込むことができた。また、CD166上のO-型糖鎖の構造解析では、試料の量的問題からコア構造の決定はできなかったが、シアル酸同士がα2,8で結合していることを確証した。次に、CD166が媒介する相互作用におけるジシアル酸糖鎖の役割解析に関して、ジシアル酸に対する抗体を用いてT細胞増殖に着目して解析した。その結果、CD3架橋によるT細胞活性化において、抗ジシアル酸抗体処理は、シアル酸転移酵素ST8SiaVIとCD166のmRNAの発現増加を誘導した。また、CD3/CD4共架橋によるT細胞活性化では、抗ジシアル酸抗体処理よって、CD166とST8SiaIVの発現上昇に加えて,ST8SiaIおよびVIのmRNAの劇的発現上昇が見出された。一方、本研究によって、T細胞活性化に伴う糖脂質とCD166上のジシアル酸の増加現象が見出された。この現象は、上記のシアル酸転移酵素の発現変化に呼応しており興味深い。さらに、ジシアル酸をもつ糖脂質およびCD166が、同一ラフト上に共存することも証明した。これらのことから、CD166上のジシアル酸と糖脂質のジシアル酸構造が協同的にT細胞増殖に関与することが示唆された。本研究を通じて、今後の研究の方向性として、抗ジシアル酸抗体を模倣するTリンパ球上のジシアル酸認識分子の検索と同定や、CD166のジシアル酸構造を介するT細胞増殖刺激シグナリングの解析の重要性が示された。
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Research Products
(3 results)