2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヌクレオチドによる可溶性グアニル酸シクラーゼのセンサー部位の活性制御
Project/Area Number |
15570124
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
牧野 龍 立教大学, 理学部, 教授 (40101026)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 洋 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (20127294)
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Keywords | グアニル酸シクラーゼ / 一酸化窒素 / 一酸化炭素 / YC-1 / ヌクレオチド |
Research Abstract |
1.グアニル酸シクラーゼのヌクレオチド結合部位数の測定 基質類似体であるdADPは還元型酵素1分子当り2分子結合し、個々の親和性には大きな差がみられない。一方、AMP-PNPでは、dADPの場合と異なり還元型酵素当り1分子の結合が見出されたが、活性化剤であるYC-1存在下では親和性の低いもう1個の結合部位があらたに見出された。これらの結果は、ヌクレオチド結合部位は酵素1分子当り2個存在し、それらの結合部位は互いに非等価であることを示している。 3'-dGMPの添加により本酵素の活性は低濃度で阻害されるが、意外なことに3'-dGMPの還元型酵素への結合は見出されなかった。しかし、還元型酵素のセンサー部位であるヘム鉄に一酸化炭素(CO)を結合させると、本酵素への3'-dGMPの結合が観察された。この結果は、3'-dGMPは活性型酵素類似の構造をもつCO型酵素に結合すること、言い換えると3'-dGMPは非(反)拮抗阻害剤として作用することを示唆する。 2.ヌクレオチド結合によるセンサー部位の構造変化 センサー部位であるヘム鉄に及ぼすヌクレオチド結合の効果を電子スピン共鳴法(EPR)で解析した。本酵素の活性中間体である一酸化窒素(NO)複合体のEPRスペクトルは対称性の高い5配位型のEPRスペクトルを示す。このEPRスペクトルは、本酵素に結合するが基質とはならない(代謝されない)ATPあるいはATP誘導体の存在下ではほとんど変化しない。しかし、基質となるGTP,dGTPあるいはGMP-PNPの存在下では、対称性の低い(異方性の高い)5配位型のEPRスペクトルを与える。これらの結果は、異方性の高い5配位型のEPRスペクトルを与える分子種が本酵素の「真の活性中間体」であること、ならびにアデニン骨格とグアニン骨格の相違がヘム鉄に及ぼす効果が異なることを明瞭に示す。
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