2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヌクレオチドによる可溶性グアニル酸シクラーゼのセンサー部位の活性制御
Project/Area Number |
15570124
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
牧野 龍 立教大学, 理学部, 教授 (40101026)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 洋 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (20127294)
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Keywords | グアニル酸シクラーゼ / 一酸化窒素 / YC-1 / ヌクレオチド / cGMP / 一酸化炭素 |
Research Abstract |
1.牛肺由来のグアニル酸シクラーゼのヌクレオチド結合部位の機能 可溶性グアニル酸シクラーゼはGTPからcGMPの産生を触媒するヘテロ2量体型ヘム酵素であり、一酸化窒素(NO)の細胞内受容体である。本酵素には2個の基質結合部位が存在するものと考えられているが、不明の点が多く残されている。今年度の研究において、我々は、本酵素にはヌクレオチド結合部位が酵素当たり2個存在するが、それらの機能は相互に異なることを見出した。基質類似体であるGMP-CPP(α,β-methylene GTP)と還元型グアニル酸シクラーゼの結合を透析平衡で測定し、酵素当たり2個のヌクレオチド結合部位が存在することを確認した。2つの結合部位のうち1個はGMP-CPPに対して高親和性を示し、他の部位は低親和性である。高親和性部位には、1分子のAMP-PNPが選択的に結合し、AMP-PNPを反応阻害剤として用いた反応動力学的解析から、高親和性部位はcGMP産生を担う触媒部位であることが判明した。それでは低親和性部位の機能は何かという疑問が生じる。我々は、低親和性部位には、本酵素の特異的活性化剤であるYC-1が結合するものと予想し、高ならびに低親和性部位の両部位に結合するdADPの結合に対するYC-1の阻害効果を調べた。YC-1の添加は、dADPの結合を競争的に阻害することから、低親和性部位はYC-1の結合部位であることを強く示唆する。すなわち、高親和性部位は触媒部位であり、低親和性部位は活性調節部位として機能することを示す。このような両結合部位の機能の相違は、一酸化炭素(CO)化型酵素の赤外伸縮振動の測定からも支持される。 2.酵母のグアニル酸シクラーゼの精製 酵母に存在するグアニル酸シクラーゼの精製を試みた。活性は動物組織に較べて極めて低く、活性測定には蛍光団を結合したGTP誘導体(Mant-GTP)を用いた。酵母酵素のMant-GTPに対するKm値は牛肺酵素のそれとほぼ同じであり、また分子量においても大きな差は見出されなかった。しかし、牛肺酵素の抗体を用いたブロットでは1本鎖のみが検出されるので、哺乳動物の酵素とは同一ではない。
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