2004 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質と溶媒分子の効果をあらわに取り入れた生体電子伝達系の理論的研究
Project/Area Number |
15570134
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 春木 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (80134485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 伸介 神戸大学, 大学院・医学系研究科・クリニカル・ゲノム・インフォマティクスセンター, 特命講師 (60324852)
高田 俊和 日本電気(株), 基礎・環境研究所, 主席研究員
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Keywords | 量子化学計算 / 分子動力学計算 / 蛋白質の電子状態計算 / シミュレーション計算 / 局在化分子軌道 / リンク原子 / QM / MM-連成計算 / 分子計算アルゴリズム |
Research Abstract |
1)量子力学(QM)で取り扱う領域の電子状態において、古典力学(MM)で扱う周囲のタンパク質・溶媒の影響を高い精度で取り入れる手法の開発I.QM/MM境界に化学結合が存在する場合の、新しいアルゴリズムの開発:昨年度までに、我々は、QM/MM境界の取り扱いで通常行われるLink Atom法の欠点を克服するため、QM/MM境界領域に疑QM領域(PQM)を導入する新たな方法を考案した。今年度は、このPQM領域の原子団を局所化されたFrozen Orbitalで置き換えこの部分に対してQMエネルギーとMMエネルギーを論理的に混合するアルゴリズムを考案し、数残基のペプチド分子に対して稼動させ、初期の目的に満たす有効性を確認した。 2)量子力学(QM)で取り扱う領域の電子状態において、古典力学(MM)で扱う周囲のタンパク質・溶媒の影響を高い精度で取り入れる手法の開発II.電荷・双極子法Cell Multipole法を組み合わせた遠距離相互作用のQM領域への正確な取り込み:Green関数を用いて、任意の閉局面より外部のクーロン力による寄与を、その閉局面上のバーチャルな電荷と電気双極子の集合で表されるという手法を利用し、Cell Multipole法(CMM)と組み合わせて遠距離にある電荷とQM領域との相互作用とを精度良く計算する手法を開発し、有効な結果を得た。テストとして、中心においたベンゼン1分子と水1分子をQM領域としそれを取り巻く水208分子が入った立法体セルの周期境界系(4層)からなる巨大な系のQM/MM連成計算において、cutoffを用いずに高い精度で遠方の水分子からのQM領域への寄与を算出できた。周期的な系を考えた場合、隣のセルからの寄与を計算する場合には通常、QM領域の原子にESP電荷あるいはRESP電荷を置くことが多いが、今回の計算では、電子密度から直接閉局面上のバーチャルな電荷と双極子を算出しており、QM/MM間の相互作用エネルギーの精度を高く維持できる。
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Research Products
(6 results)