2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15570152
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
太田 力 国立がんセンター, 研究所・腫瘍ゲノム解析情報研究部, 室長 (10290892)
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Keywords | 乳児白血病 / NBS1 / RAD50 / MRE11 |
Research Abstract |
研究目的および成果:最近、高頻度に乳児白血病(ALL)患者のNBS1にアミノ酸置換が見つかり、Mre11/Rad50/Nbs1の変異は特定の遺伝病患者の発がんに関与しているだけでなく、一般のがん発症に深く関与している可能性が出て来た。これら患者の細胞は電離放射線によってDNA損傷を誘導した場合に所謂cell-cycle checkが働かない(この点に関しては、酵母のXrs2やMre11欠損株でもcell-cycle checkが働くことが知られており、高等生物に特異的な現象と思われる)。電離放射線・抗がん剤や複製中のDNA切断等の原因で染色体DNAに二重鎖切断が起った場合、そのシグナルはATMによってp53やMre11/Rad50/Nbs1複合体蛋白質のNbs1がリン酸化され、p53およびNbs1を活性化し細胞周期を止めることが知られている。多くの研究によりp53経路による細胞周期制御機構はその詳細が分かりつつあるが、Mre11経路に関しては全く分かっていない。そこで、申請者はMre11経路で働く因子を同定し、その機能解析を行った。 がん患者から見つかったNBS1遺伝子の変異解析を行う目的で、NBS1の全長cDNAにPCR変異法を用いて変異を導入した。この変異型と野生型NBS1、野生型RAD50および野生型MRE11の全長cDNAを用いて昆虫細胞で蛋白質をつくらせ、複合体形成能および酵素活性を調べたがin vitroで変異型Nbs1と野生型Nbs1で違いを検出できなかった。現在、変異型および野生型NBS1の全長cDNAをNBS1の発現がほとんどみられない細胞に導入し恒常的に発現する細胞株を樹立した。今後、この細胞株を用いて、放射線障害による感受性や細胞周期阻害を調べていきたい。
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