2003 Fiscal Year Annual Research Report
極性タンパク質、PAR-1キナーゼの哺乳動物上皮細胞極性化過程における機能の研究
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15570163
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
鈴木 厚 横浜市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (00264606)
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Keywords | 上皮細胞 / 細胞極性 / プロテインキナーゼC / PAR |
Research Abstract |
当初平成15年度に目的とした「aPKCによるPAR-1上の主要なりん酸化部位の同定」に成功し、この部位に対する特異的りん酸化抗体の作製も行った。そして、本抗体を用いることによって、試験管内で同定したこのサイトがMDCK培養上皮細胞内でもaPKCによって実際、内在的にりん酸化されていること、さらにこのりん酸化が脱極性化状態で亢進しており、上皮極性化の過程の遅い段階で急速に脱りん酸化によって消失することを見出した。以上の結果は、このaPKCによるPAR-1のりん酸化が上皮細胞の極性形成過程と密接に関連していることを強く示唆している。さらにこの結果は、線虫で遺伝学的に示されているaPKC-→PAR-1という細胞極性化シグナルが進化的に保存されていることを示し、かつ、遺伝学ではわからないその分子機構の実体を今後明らかにしうる可能性を開いた。 興味深いことに、極性化状態の上皮細胞にあっても、Protein Phosphatase2A(PP2A)の阻害剤であるオカダ酸の添加によってこのaPKCによるPAR-1のりん酸化が亢進することがわかった。すなわち、極性化した上皮細胞内において、PAR-1はaPKCによるりん酸化とPP2Aによる脱りん酸化の平衡状態にあると考えられる。さらに重要なことに、オカダ酸添加は、上皮細胞におけるPAR-1のbasolateral膜への非対称局在を阻害し、その細胞内への解離を誘導した。以上の結果は、aPKCによるリン酸化によってPAR-1の上皮細胞における局在が制御されていることを示唆している。現在、こうした結果を中心に、成果を論文として発表するべく、さらに実験を進めている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Mishima W. et al.: "The first CH domain of affixin activates Cdc42 and Rac1 through αPIX, a Cdc42/Rac1-specific guanine nucleotide exchanging factor"Genes to Cells. (In press). (2004)
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[Publications] Ebnet K. et al.: "Junctional adhesion molecules (JAMs) : more molecules with dual functions?"J.Cell Science. 117. 19-23 (2003)
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[Publications] Ebnet K. et al.: "The junctional adhesion molecule (JAM) family members JAM-2 and JAM-3 associate with the cell polarity protein PAR-3 a possible role for..."J.Cell Science. 116. 3879-3891 (2003)
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[Publications] Yamanaka T. et al.: "Mammalian Lg1 Forms a Protein Complex with PAR-6 and aPKC Independently of PAR-3 to Regulate Epithelial Cell Polarity"Curr.Biol.. 13. 734-743 (2003)
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[Publications] Mizuno et al.: "Self-association of PAR-3 mediated by the conserved N-terminal domain contributes to the development of epithelial tight junction"J.Biol.Chem.. 278. 31240-31250 (2003)
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[Publications] Suzuki A. et al.: "A PKC Isotype Essential for the Development of Multicellular Organisms"J.Biochem.. 133. 9-16 (2003)