2003 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内pHとMAPキナーゼによって制御される減数分裂中期休止機構
Project/Area Number |
15570171
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
千葉 和義 お茶の水女子大学, 理学部, 助教授 (70222130)
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Keywords | ヒトデ / 第1減数分裂中期 / 細胞内pH / Na+ / H+アンチポーター |
Research Abstract |
申請者は、ごく最近、「ヒトデ卵母細胞は第1減数分裂中期でいったん休止(1〜3時間)し、卵巣内から体外(海水中)に放卵されると減数分裂が再開される」ことを見い出した。この中期休止は、正常発生を保証する受精タイミング補正装置として役立っている。 本研究では、この新事実を成立させている分子機構を明らかにする。すなわち、1)なぜ卵巣内で細胞内pH(pHi)が上昇しないのか、2)MAPキナーゼがどのように働いて減数分裂中期休止を実現するのか、3)pHi上昇がどのようにして減数分裂を再開させるのか、の3点だ。本研究は、正常発生の基盤となる分子機構を明らかにするものであり、発生生物学にとって意義深いものであると考えている。 本年度は、1)について、以下の実験結果を得た。すなわち、卵巣内で卵母細胞の外側のpHを測定したところ、pH6付近の低い値であり、ホルモンである1-メチルアデニンの刺激によって、さらにpHが低下した。このことは、Na+/H+アンチポーターが卵外低pH環境によって、見かけ上阻害されており、卵巣内ではpHi上昇が起こらない可能性を示唆する。実際、低pH海水中では第1減数分裂中期で休止することが再現できた。海水中に放卵されると、海水のpHが高いために、休止が解除されていると考えられる。 さらに2と3)については、ポリユビキチン化されたサイクリンBのプロテアソームによる分解が、MAPK活性によって低pHiでは阻害されていることを解析中である。ポリユビキチン化以降にMAPK依存的な律速段階があることを意味しており、来年度はこの分子機構をさらに解明したい。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Harada, K., Oita, E., Chiba, K.: "Metaphase I arrest of starfish oocytes induced via the MAP kinase pathway is released by an increase of intracellular PH."Development. 130. 4581-4586 (2003)
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[Publications] Sasaki, K., Chiba, K.: "Induction of apoptosis in starfish eggs requires spontaneous inactivation of MAPK (ERK) followed by activation of p38 MAPK."Mol.Biol.Cell.. 15. 1387-1396 (2004)
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[Publications] Oita, E., Harada, K., Chiba, K.: "Degradation of polyubiquitinated cyclin B is blocked by the MAPK pathway at the Ml arrest in starfish oocytes."J.Biol.Chem.. (印刷中). (2004)
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[Publications] Hyslop, L.A., Nixon, V.L., Levasseur, M., Chapman, F., Chiba, K., McDougall, A., Venables, J.P., Elliott, D.J., Jones, K.T.: "Ca^<2+>-promoted cyclin B1 degradation in mouse oocytes requires the establishment of a metaphase arrest."Dev.Biol.. (印刷中). (2004)