2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15570185
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
田ノ上 拓自 独立行政法人理化学研究所, 高次構造形成研究グループ, 基礎科学特別研究員 (10360588)
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Keywords | 細胞間接着 / カドヘリン / アクチン骨格 / 細胞内極性 |
Research Abstract |
カドヘリンは、生物の高次な構造の形成に重要な役割をはたす細胞間接着分子である。カドヘリン分子はファミリーを形成しており、大きく分けてclassic cadherinと、protocadherinに分類できる。前者は、構造上非常に相同性の高い分子群であり、細胞内でカテニン系と結合し、その結合を介してアクチン骨格系と相互作用する。一方、protocadherin分子群は、classic cadherinとは全く異なる配列を示し、かつ、非常にdiversityに富んでいる。その機能に関しては、ほとんど解析されていないのが現状である。当研究は、protocadherin分子の一員であるFat protocadherinの細胞内シグナル伝達経路の解析を通してその機能を解明することを目的とする。当研究において、我々は、Fatというprotocadherinの細胞内結合分子として、Ena/VASP分子群を同定した。Ena/VASP分子は、アクチンのpolymerizationを制御する分子である。我々は、Fatに対する特異抗体を作製し、様々な種類の細胞における局在を詳細に検討した。その結果、Fatは、filopodia、lamellipodia、cell junctionにおいてEna/VASPと共局在することがわかり、dynamicなアクチン骨格系を制御することが強く示唆された。RNAiを用いた機能欠損の実験をおこなったところ、Fatがノックダウンされるとcell junctionのアクチン骨格系の構造が壊れることが明らかとなった。また、細胞間接着形成の非常に初期の段階や、上皮細胞の平面内極性の制御にも重要な役割を果たしていることがわかった。今後、これまでに得られたin vitroの実験結果を踏まえて、in vivoでの機能解析を進めていく予定である。
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