2004 Fiscal Year Annual Research Report
脊索動物の形態進化におけるレチノイン酸シグナル経路獲得の意義
Project/Area Number |
15570187
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
藤原 滋樹 高知大学, 理学部, 助教授 (40229068)
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Keywords | ホヤ / 脊索動物 / 進化 / レチノイン酸 / マイクロアレイ / 転写調節 / レポーター解析 / エンハンサー |
Research Abstract |
レチノイン酸は,脊索動物特有の体の構造(背側の中枢神経系の前後軸に沿ったパターン形成,神経堤細胞の分化など)の形成に重要である。レチノイン酸の合成酵素,分解酵素,受容体などの遺伝子は脊索動物においてのみ同定されているので,これらの遺伝子の獲得と,標的遺伝子のレパートリーの変化が脊索動物・脊椎動物の進化の原動力になったと思われる。本研究では,cDNAマイクロアレイによってホヤ胚における標的遺伝子を多数同定したが,今年度は,以下の研究を行った。 (1)約20000のスポットを載せたカタユウレイボヤのオリゴヌクレオチド・マイクロアレイを用いて,さらに多数の標的遺伝子を同定した。そのほとんどの遺伝子についてin situハイブリダイゼーションを行って,正常胚における組織特異的発現パターンとレチノイン酸に対する応答を確認した。 (2)さらに,レチノイン酸と翻訳阻害剤(ピューロマイシン)で同時に処理した胚から蛍光プローブを作製してオリゴチップ解析を行い,レチノイン酸に直接応答する標的遺伝子を同定した。ここまでの成果は論文として投稿中である。 (3)直接の標的遺伝子のうち」Hox1,Cyp26,機能のわからないring-fingerタンパクをコードする遺伝子の上流およびイントロン配列を単離し,レポーター解析を行って,組織特異的な転写調節に関与する領域やレチノイン酸に対する応答に必要な領域を同定した。 (4)Hox1遺伝子のイントロン中のエンハンサーにレチノイン酸応答エレメントと思われる配列を発見し,ゲルシフト解析を行って,カタユウレイボヤのレチノイン酸受容体がその配列に結合することを確認した。
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Research Products
(3 results)