2005 Fiscal Year Annual Research Report
脊索動物の形態進化におけるレチノイン酸シグナル経路獲得の意義
Project/Area Number |
15570187
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
藤原 滋樹 高知大学, 理学部, 助教授 (40229068)
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Keywords | ホヤ / 脊索動物 / レチノイン酸 / 進化 / RAR / CYP26 / 遺伝子発現 / マイクロアレイ |
Research Abstract |
レチノイン酸は,脊索動物に特徴的な体の構造を形づくるために重要なシグナル分子である。本研究では,レチノイン酸の合成酵素,分解酵素,受容体の遺伝子(これらの遺伝子は脊索動物からしか発見されていない)の発現と機能を解析した。また,マイクロアレイを用いてレチノイン酸標的遺伝子を多数同定し,その発現・機能解析をすることによって,脊索動物の形態進化の分子メカニズムを解明することを目指した。今年度は,以下の研究を行った。 1.レチノイン酸受容体(Ci-RAR)遺伝子のプロモーター解析と,レチノイン酸処理胚のオリゴチップ解析の成果を論文として公表した。 また,内在性のレチノイン酸の発生における必要性を検証するため,以下の3つの研究を行った。 2.レチノイン酸分解酵素(Ci-Cyp26)は,初期胚の脳で発現しており,この領域でレチノイン酸の効果を抑制して正常なパターン形成に貢献していると考えられる。Ci-Cyp26遺伝子のcDNAを,Ci-RAR遺伝子のエンハンサー/プロモーター領域の下流に連結して胚に導入し,異所的に発現させたときに,胚の形態や下流遺伝子の発現を見る実験系を構築した。 3.レチノイン酸のアンタゴニストであるBMS009で胚を処理して形態と遺伝子発現を観察した。他の動物ではアンタゴニストとして機能するBMS009は,ホヤ胚においては,弱いアゴニストとして働くことを示唆する結果を得た。 4.ドミナントネガティブ型のCi-RARを発現させるためのプラスミドコンストラクトを作製した。この他,マイクロアレイ解析で同定したレチノイン酸標的遺伝子のうち,非常に早くから強く活性化される機能のわからない遺伝子(04977r1)の機能解析を行った。 5.最近私たちの研究室で開発されたsiRNA発現系を利用して,RNAiによる機能阻害実験を行った。 6.この遺伝子のプロモーター領域のレポーター解析も進めた。
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Research Products
(4 results)