2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15570189
|
Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
田宮 徹 上智大学, 理工学部, 教授 (30119135)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神澤 信行 上智大学, 理工学部, 助手 (40286761)
|
Keywords | 毒蛇 / IA型ホスホリパーゼA2 / IB型ホスホリパーゼA2 / 加速進化 / 分子進化 / アオダイショウ / エラブウミヘビ / ハブ |
Research Abstract |
溝牙科(コブラ、ウミヘビ)に属する毒ヘビの遺伝子中には、毒腺で発現している毒PLA2(IA型)遺伝子と生物が普遍的に消化酵素として持っている膵臓PLA2(IB型)の遺伝子が共存するはずである。従って、溝牙科毒ヘビのPLA2遺伝子には、共通の祖先遺伝子から酵素遺伝子としての機能を捨て、或いは保ちつつ、毒PLA2(IA型)遺伝子として進化したもの、膵臓PLA2(IB型)遺伝子として進化を遂げてきたものが存在すると考えられる。本研究では、エラブウミヘビを材料とし、毒ヘビ体内で発現している種々のPLA2遺伝子を明らかにすることにより、毒PLA2をコードする遺伝子の進化過程を明らかにすることを目的とした。 エラブウミヘビ各組織のcDNAライブラリーから、PLA2のスクリーニングを行ったが、陽性クローンを得ることが出来なかった。そこで、毒腺・膵臓のmRNAからRT-PCRによりIB型(膵臓タイプ)ならびにIA型(毒タイプ)PLA2の増幅を行い、新たに膵臓からIA型、膵臓・毒腺・からIB型を得た。cDNAの配列から推定されるIB型のアミノ酸配列には、哺乳類膵臓のIB型PLA2に存在する、プロ配列が無かった。エラブウミヘビ膵臓由来IB type PLA2遺伝子をprobeとし、様々な組織(心臓・膵臓・毒腺・肝臓・脾臓・肺・筋肉)から抽出したRNAを用いてNorthern blottingを行った。しかしながら、毒腺以外の組織ではprobeと反応するbandは認められず、その発現量がかなり低いことが示唆された。有毒ヘビで、エラブウミヘビとは異なるIIA型PLA2を持つハブ及び無毒のヘビ(シマヘビ、アオダイショウ)の膵臓からRT-PCRにより、IB型のPLA2を増幅した。いずれのヘビからも、エラブウミヘビIB型PLA2と非常に相同性の高いPLA2が増幅された。また、IBをコードする染色体遺伝子についても、有毒(エラブウミヘビ属のアオマダラウミヘビとヒロオウミヘビ、ハブ)および無毒(シマヘビ、アオダイショウ)ヘビの染色体DNAを鋳型に増幅を行い、解析を行った。遺伝子は、いずれも4エキソン3イントロン構造をとり基本的に同一の構造をしていた。以上のことから、IA、IB型遺伝子は共通の祖先遺伝子から進化してきたと考えられる。
|
Research Products
(1 results)