2004 Fiscal Year Annual Research Report
化石から見たヒト上科の出アフリカとユーラシアへの拡散
Project/Area Number |
15570193
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
國松 豊 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (80243111)
|
Keywords | ヒト上科 / 中新世 / アフリカ / 東南アジア / タイ王国 / オランウータン / Nacholapithecus kerioi / 霊長類 |
Research Abstract |
昨年度から継続して、ケニヤ国立博物館所蔵の中新世化石類人猿の形態学的分析をおこなった。中新世は2400万年前から500万年前まで2000万年近く続く地質学的時代区分である。ケニヤを中心とした東アフリカ地域は20世紀前半より類人猿をはじめ多くの中新世霊長類化石を産出しており、アフリカにおけるこの種の研究のメッカである。本研究ではこの地域の中新世前期から後期初頭までの各種化石類人猿を視野に入れつつ、特にケニヤ北部のナチョラ地域で産出した比較的大型の化石類人猿であるNacholapithecus kerioiの形態学的分析に重点をおいた。というのも、この時期のアフリカ類人猿についてはまだデータが少なく、また年代の上からも、ちょうど現生オランウータンにつながる系統が他の大型類人猿と分岐したと推定されている時期だからである。歯牙や上下顎骨の形態を中心に分析を続けた。Nacholapithecusはその少し前の時代の代表的な化石類人猿であるProconsul類にも見られるような原始的な特徴を残しつつ、前顎骨の形態や硬口蓋との位置関係などにおいて、現生大型類人猿の萌芽とも解釈しうる特徴も備えていた。下顎についての研究を進めた。 タイ王国北部と東北部から産出した中新世類人猿化石の研究とそれに関連した哺乳類化石を研究した。タイ北部のチェンムアン炭坑産出の大型類人猿化石は現生オランウータンに近いサイズの動物であり、共産する哺乳類化石と古地磁気層序学的研究から時代は中新世中期と後期の境界附近と推定される。タイ東北部から報告されているKhoratpithecus piriyaiの下顎骨と現生・化石類人猿との形態学的比較をおこなった。 ヨーロッパから知られているDryopithecusの下顎に関しても、アフリカとアジアの他の化石類人猿との比較を念頭において調査した。
|
Research Products
(5 results)