2003 Fiscal Year Annual Research Report
タバコの雑種培養細胞におけるアポトーシス発現機構の解析と関連遺伝子群の探索
Project/Area Number |
15580003
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
丸橋 亘 茨城大学, 農学部, 教授 (00181826)
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Keywords | PCD(プログラム細胞死) / アポトーシス / 雑種致死 / Nicotiana / エチレン |
Research Abstract |
雑種致死性は遠縁の植物間で交雑を試みると、受精は成立し、雑種種子が得られ、発芽はするが、その後、雑種実生が枯死してしまう現象である。育種の障害になると同時に生殖的隔離機構の1つでもある。この現象は古くから知られていたが、その細胞学的、生理学的発現機構についてはこれまで国内外でほとんど検討することはなかった。本研究では育成温度を制御することで致死を誘導(28℃)、回避(36℃)できるタバコ属種間雑種(Nicotiana suaveolens x N. tabacum)について致死の発現機構を研究した。種間雑種を実生レベルで検討するだけでなく、致死する前の実生から36℃条件下でカルスを誘導し、そのカルスから雑種培養細胞系を樹立し、細胞レベルでも検討ができるようにしたところ、この致死の過程では、核の凝縮、核DNAのヌクレオソーム単位での切断、核の断片化が生じていることを検出し、個々の細胞がいわゆるプログラム細胞死(アポトーシス)を発現していることを明らかにした。また、致死に関わる因子の1つは特定の染色体(N. TabacumのSサブゲノム中のQ染色体)に座乗していること、正逆の交雑実験から細胞質因子は致死の発現に関与しないこと、エチレンの生成が直接的に致死に関わっていること(実生のみ)なども明らかにした。これら一連の研究は雑種致死を細胞学的、分子遺伝学的に解明する基盤を世界に先駆けて構築したものである。現在、生存可能なミュータント細胞などを供試し、致死特異的遺伝子群の同定を進めている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Masuda, Y., Yamada, T, Marubashi, W.: "Temperature-dependent apoptosis in hybrid tobacco cells"Plant and Cell Physiology. 44・4. 420-427 (2003)
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[Publications] Yamada, T, Marubashi, W.: "Overproduced ethylene causes PCD in tobacco hybrid seedlings."Planta. 217. 690-698 (2003)
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[Publications] Tezuk, T., Marubashi, W.: "Apoptotic cell death in tobacco hybrid seedlings"Breeding Science. 54・1. 59-66 (2004)
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[Publications] Watanabe, H.Marubashi, W.: "Temperature-dependent PCD in tobacco hybrids"Plant Biotechnology. (in press). (2004)