2003 Fiscal Year Annual Research Report
キメラ後代で得られたオグラ型細胞質雄性不稔ミトコンドリアゲノムの構造と機能解析
Project/Area Number |
15580004
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
平田 豊 東京農工大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (50113866)
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Keywords | キメラ / アブラナ科 / ミトコンドリア / 細胞質雄性不稔 / 接木変異 / オグラ型細胞質 / ヘテロプラズミー / 細胞融合 |
Research Abstract |
実験計画に従い、キメラ後代で認められた細胞質雄性不稔のゲノム構造およびその回復系統の探索と制御メカニズムについて研究を行なってきた。この間、半田等により西洋ナタネのミトコンドリアゲノム構造(221,853bp)が明らかにされ、従来のイネ、タバコ、アラビドプシスおよび西洋ナタネを参考にすることができた。これまでのPCRやRFLPのデータよりこの新しいオグラ型類似のCMSは3つのヘテロゲノム分子を持つことがわかったので、オグラ型指標遺伝子であるorf138PCR断片のPCRより得て、それらのより上流および下流へ伸張させ、こら等3つのゲノム分子の構造や特性を明らかにする実験を進めた。CMSの主ゲノムはtrnfM-orf138-、サブゲノムは約1000分の1コピーで存在し、構成と順序はこの通りで、主ゲノムでは3つの遺伝子が1,828bpの大きさで存在し、CMSダイコンと極めて高いホモロジーを示す(99.1%,ナタネとは98.7%)こともわかった。ただし、ナタネではさらに上流のatpAとは10万bpも離れているが、雄性不稔ゲノムではこないだはかなり近く、この2つは近くにあり、この周辺でナタネゲノムに組換えが起こっているものと推定された。現在さらにゲノム構造について、伸張やlong PCRナタネからの相同性と構造の解析などを続けている。本雄性不稔ゲノムは少なくともオグラに似ているが、それとも異なり、新しい安定したCMSといえる。従って、できるだけ早く、この3構造、機能を解析したい。 これと平行して、オグラ型CMSの起源に関わるアブラナ科での根拠を見いだすために、orf138の遺伝子探索を行った。その結果、いくつか種で同一配列ないしは塩基置換のある系統を広く見いだすことができた。このことより、オグラ型細胞質はかなり広く分化し、幾つかの種に潜在しているものと思われる。それが、ソースとなり、未知の刺激や制御の影響を受け、発現したものと思われる。このことは、細胞融合で見いだされたキャベツのCMSゲノムでもほとんど同じ結果を得ているので、この制御変異メカニズムは共通であると思われる。それだけに、育種におけるメカニズム解明と利用が望まれる。 さらの、ミトコンドリアと平行して調べている葉緑体ゲノム解析の結果も、ミトコンドリアときわめて一致した結果をえており、オルガネラの制御に向け、メカニズム解明と利用の両側面から重要な内容を持っている。 これらの結果は、一部発表され、今後の論文や国際学会での発表として行う予定である。
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[Publications] Chen, LP, Zhang, MF, Hirata, Y.: "Production of interspecific somatic hybrids between Brassica juncea and B.oleracea."Plant Cell, Tissue Organ Culture. 78(accepted). (2004)
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[Publications] Hirata, Y., T.motegi, Y.Hogi: "Changes in mitochondrial and chloroplast geneome structure accompanied with cytoplasmic male sterility induced by protoplast fusion and chimera synthesis."Acta Horticulturae. 409(in press). (2004)
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[Publications] Chen, LP, Wand BL, Yang, ZL, Chen ZJ, Hirata, Y.: "Plant regeneration from hypocotyls protoplasts of red cabbage (Brassica oleracea) by using nurse cultures."Plant Cell Tissue Organ Culture. 77・. 133-138 (2004)
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[Publications] Zhang, MF, Chen LP, Wang, BL, Yang, JH, Chen, Zj, Hirata, Y.: "Characterization of atpA and orf220 genes distinctively present in a cytopalmis male-sterile line of tuber mustard."Journal of Horticultural Science and Biotechnology. 78・6. 837-841 (2003)
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[Publications] 超技術開発者集団: "今農工大が面白い"学際企画株式会社. 252 (2003)