2005 Fiscal Year Annual Research Report
自殖性導入による普通ソバ高ルチン含量系統の選抜効率とQTL解析
Project/Area Number |
15580005
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
南 峰夫 信州大学, 農学研究科, 教授 (30174098)
|
Keywords | ソバ / ルチン / 自家不和合性 / 選抜効率 |
Research Abstract |
(1)QTL,解析の材料作出および遺伝様式の予備的調査のために,選抜育成した自家不和合性の高ルチン含量系統と低ルチン含量系統を交配して正逆F_1を作出し,さらに系統内交配でF_2を作出した.これらを両親系統とともに比較栽培し,ルチン含量を測定した.その結果,F_1においては高低両系統のほぼ中間の値となった.F_2では低ルチン含量系統に近い値となり,低ルチン含量方向が優性であった.個体当たり種子数が少なく,個体別ルチン含量を測定できなかったため,関係するQTLを推定することはできなかった. (2)自殖の選抜に対する効果を検討するために,自殖系統に高ルチン系統を戻し交配したBC_3とBC_4を比較した.無選抜で世代を進めたにもかかわらず,BC_4でルチン含量が約77%も増加しており,自家不和合性他殖集団における個体選抜の効果を大きく上回った.この結果から自殖性導入によって高ルチン特性を効率的に導入できることが明らかになった.本実験では,自殖集団における個体選抜を行えなかったが,無選抜でもルチン含量の著しい増加が認められたことから,自殖集団で個体選抜を行うことにより,さらに効率的に高ルチン含量系統を育成できると考えられた. (3)自家不和合の高ルチン系統集団において,無選抜で世代を進めたところ,低ルチン含量方向へ個体変異が広がり,集団平均値としては母集団よりやや低下した.しかし,次世代においてルチン含量による個体選抜を行ったところ,再度ルチン含量が増加し,高ルチン含量遺伝子が集団内に集積していることが認められた. (4)上記の高低ルチン含量系統の交配結果および自殖性集団における高い選抜効果をあわせて考えると,ルチン含量は相加効果が大きく,低ルチン方向が優性と考えられた.相加効果の割合が大きいことから,自殖性集団はもとより,他殖性集団においても個体選抜の継続により,さらに高いルチン含量系統の育成が可能と結論した.
|
Research Products
(2 results)