2003 Fiscal Year Annual Research Report
リサイクル古紙を利用した環境保全型農業に関する研究
Project/Area Number |
15580013
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
中野 尚夫 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (20304256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 真悟 島根大学, 生物資源科学部, 助教授 (00346371)
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Keywords | リサイクル古紙 / 砂丘土壌 / 土壌水分 / 地温 / 無機態養分 / ダイズ / 根の伸長 |
Research Abstract |
リサイクル古紙による作物の生育阻害を知るために,粉砕した5種類のリサイクル古紙の水抽出液について,pHと発芽・初期の生育阻害を検討した.広告紙を含まない印刷前新聞紙では,pHが低く,発芽・生育阻害を認めなかった. 砂丘畑において,播種する条20cm幅の地表面下10cmの土壌層に切断粉砕した広告紙を含まない新聞紙を混和(容積比で25%,50%,75%,対照無混合)してダイズを栽培(播種時期6月20日)した.この新聞紙を混和した土壌層では,土壌水分が高く,日中の最高地温が低く,8月の土壌中アンモニア態窒素濃度も高かった.これら効果は,その効果は混和量が多いほど大きかった.しかしこれらの効果は,混合した土壌層より下の層では認められなかった. このように粉砕新聞紙を混合した土壌層においては,土壌水分が高く保持されたため,ダイズの出芽が早く出芽率もやや高くなった.しかし,栄養生育量・収量,あるいは気孔の開度には効果が認められなかった.この理由として本年は7月の降雨量(431mm)が平年のそれ(231mm)に比べ多かったことが考えられたので,降雨量が少なくなった7月31日にダイズを播種し,効果を検討した.このような降雨の少ない条件では,粉砕新聞紙の土壌混合によって出芽,気孔の開度が優れ,葉色も濃くなった.しかし,生育・収量は50%混合>25%混合>無混合混合であった.75%混合では明らかな根の伸長抑制が見られた.粉砕新聞紙そのものによる生育阻害ははとんど考えられないので,この根伸長抑制は古紙の物理的要因によるものと考えた.
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