2004 Fiscal Year Annual Research Report
近代庭園の空間的特質にみられる煎茶的要素に関する研究
Project/Area Number |
15580028
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Research Institution | Kyoto University of Art and Design |
Principal Investigator |
尼崎 博正 京都造形芸術大学, 芸術学部, 教授 (50141502)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 後楽 京都造形芸術大学, 芸術学部, 教授 (50351359)
仲 隆裕 京都造形芸術大学, 芸術学部, 教授 (20237192)
矢ケ崎 善太郎 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (90314301)
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Keywords | 近代庭園 / 煎茶文化 / 空間的特質 / 東山茶会 / 京都の庭園 / 原寸大の自然 / 近代数寄空間 / 近代数寄者 |
Research Abstract |
昨年度に続いて東山茶会の会場となった京都の庭園および建築の遺構調査を行い、また新たな文献の発掘によって、その空間的特質を明らかにした。 京都を中心とした昨年度の遺構調査を継続するとともに、本年度はさらに関東地方のほか愛知、福井、石川、兵庫、大分で調査を行い、遺構と文献から、各地における近代庭園の意匠的特徴と、そこで行われた文化的行為における庭園の役割について考察し、近代庭園の空間的特質と煎茶文化とのかかわりを解明する手がかりとした。また、明治、大正期に発刊された庭園案内書の類を解読し、近代庭園の空間的特質と庭園を構成している素材の特徴を明らかにした。以上の遺構調査および文献調査から、近代庭園の空間的特質と素材の特徴について考察した。 幕末から昭和初期に行われた煎茶会の記録(煎茶図録)から、その庭園と建築の意匠的特質と庭園を構成する素材を解明し、煎茶会の場の空間的特質について考察した。 以上から、近代に営まれた庭園を対象として、そこで行われた様々な文化的行為、特に煎茶文化にかかわる行為において、庭園がどのような機能を果たしていたかを考察し、近代庭園の意匠に反映された煎茶文化の影響を解明した。 煎茶会が行われた場は、人間の自然な感情の発露の場としての明るく開かれた雰囲気を志向するものであったが、これは、明治以降の庭園に現れる、新たな時代の求めの中で生まれた自然の表現に通じるものがあった。本研究から、日本の近代庭園を庭園史の中に正統的に位置づけ評価するための新たな知見を得ることができた。 なお、今回の研究で収集した資料と各地における近代庭園の調査結果についてはデータベース化を行った。
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