2003 Fiscal Year Annual Research Report
オールドローズの花弁にペラルゴニジン配糖体は存在するか?
Project/Area Number |
15580029
|
Research Institution | Natural History Museum and Institute, Chiba |
Principal Investigator |
御巫 由紀 千葉県立中央博物館, 自然誌・歴史研究部・資料管理研究科, 上席研究員 (10250151)
|
Keywords | バラ / オールドローズ / 花色 / フラボノイド / アントシアニン / ペラルゴニジン配糖体 / 高速液体クロマトグラフィ / 2次元薄層クロマトグラフィ |
Research Abstract |
19世紀に作出されたバラ園芸品種はその由来により3グループに分けられる。1つめは、ヨーロッパで古くから栽培されていたガリカ系オールドローズ(ガリカ、ダマスク、センティフォリア、アルバ系統)、2つめはガリカ系オールドローズに中国の園芸品種(チャイナローズ)を交配して作出された品種群で、ポートランド、ノアゼット、ブルボン、ハイブリッド・チャイナ、ハイブリッド.パーペチュアル、ティーの6系統。3つめは19世紀後半に日本からヨーロッパへもたらされたノイバラを主に中国原産の四季咲き矮性品種とかけ合わせて作出されたポリアシサ系統で、この系統にはペラルゴニジン(Pg)配糖体合成能力があることがすでに確認されている。 これまでの研究ではシアニジン、ペオニジンの配糖体は野生種のバラにも存在するが、Pg配糖体は、交配育種の過程で突然変異により合成されるようになったと考えられており、その起源は明らかでない。1グループにPg配糖体がわずかでも検出されれば、バラのPg配糖体の起源はヨーロッパのガリカ系オールドローズにまでさかのぼり、中国のバラや日本のバラの影響を受ける以前からPg合成能力を有していたということになる。一方、2グループだけにPg配糖体が検出され1に無ければ、ガリカ系オールドローズが中国のバラと交配することによってPg合成能力を獲得したといえる。もし1、2いずれかのグループのオールドローズ品種でPg配糖体が発見されたならば、最初にPg配糖体を獲得したのはポリアンサ系統であるという従来の説が覆される。反対に1、2両方にPg配糖体が存在しないことが明らかになれば、バラはポリアンサ系統品種の作出で初めてPgを合成できるようになったと判断できる。 今年度は1と2のグループに属する141品種を収集し、含有するアントシアニンの組成を高速液体クロマトグラフィと2次元薄層クロマトグラフィによって厳密に行った。
|