2004 Fiscal Year Annual Research Report
進行型疑似病斑形成変異イネを利用した過敏感細胞死誘導機構の分子生物学的解析
Project/Area Number |
15580034
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Research Institution | SHIMANE UNIVERSITY |
Principal Investigator |
荒瀬 栄 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (40127478)
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Keywords | イネいもち病 / 突然変異イネ / トリプタミン / アポトーシス / 光 / 関口病斑 / トリプトファン脱炭酸酵素 / モノアミン酸化酵素 |
Research Abstract |
イネいもち病菌を接種した関口朝日を光照射下に保つとDNAの断片化やDNase活性の増加が観察されたが、タンパク合成阻害剤であるシクロヘキシミド又は熱処理により関口病斑形成、トリプタミン蓄積あるいはトリプタミン関連酵素(TDC及びMAO)活性を著しく抑制したイネ葉ではそれらも観察されなくなった。このような違いは、細胞死の検出試薬であるエバンスブルーを用いても認められた。即ち、関口病斑では細胞死の誘導を示す強いエバンスブルー染色が観察されたがいもち病斑では認められなかった。関口系変異イネ関口朝日以外の関口コシヒカリ及び関口ササニシキにおける、トリプタミン経路の活性化とアポトーシス誘導も光依存的であった。また、Terminal deoxynucleotidyl transferase-mediated dUTP-nic end labeling(TUNEL)法や電気泳動法により核のDNA崩壊やDNase活性の増加も光依存的に起こっていた。しかし、シクロヘキシミド又は熱処理によりトリプタミン経路を抑制すると、DNAの崩壊や断片化あるいはDNase活性も抑制された。イネいもち病菌を接種した関口朝日を長波長域(550-650nm)の光条件下に保つと著しいトリプタミン経路の活性化が観察されたが、短波長域(200-500nm)の光条件下では観察されなかった。さらに、長波長域の光条件下の接種葉では著しいカタラーゼ活性の低下とそれに伴うH_2O_2の生成・蓄積が観察された。しかし、短波長域の光条件下では高いカタラーゼ活性が維持されており、H_2O_2の生成・蓄積は見られなかった。 以上の結果より、関口系変異イネのトリプタミン経路の活性化には長波長域の可視光が必要であり、トリプタミンはMAOにより酸化されH_2O_2が生成されるが、可視光下ではカタラーゼによる消去が行われないためにその蓄積が起こる。また、蓄積したH_2O_2はイネ細胞にアポトーシス反応を伴った細胞死を誘導すると考えられた
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Research Products
(5 results)