2003 Fiscal Year Annual Research Report
カイコの胚子活性化時における新規RNAヘリケースの役割
Project/Area Number |
15580042
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
澤田 博司 北里大学, 一般教育部, 講師 (60196326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
間瀬 啓介 独立行政法人農業生物資源研究所, 生産工学研究グループ・新蚕糸技術研究チーム, 主任研究官
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Keywords | 休眠 / 非休眠 / 胚子 / カイコ / RNAヘリケース / DEAD box / ディファレンシャル・ディスプレー法 / リコンビナント・タンパク質 |
Research Abstract |
我々は,カイコの胚子活性化に関与するDEAD-box RNAヘリケースファミリーに属すると考えられる新規なタンパク質(RHL)をコードする完全長cDNAを単離する事に成功し,その構造や発現に関して以前より研究を進めている。本年度は,この新規RHL cDNAを大腸菌内で発現させたリコンビナント・タンパク質(rRHL)を用いて,(1)rRHLの機能解析,(2)rRHLに対するポリクローナル抗体を用いての初期胚におけるRHLの局在の観察,(3)rRHLをリン酸化する酵素の検索などに着手した。 (1)rRHLの機能に関する研究実績。 予想される一次構造中にATPase活性に関与すると考えられるモチーフが存在する事から,ATPase活性の測定を試みた。その結果,弱いながらも活性がある事が明らかになった。報告されているいくつかのDEAD-box RNAヘリケースは,核酸を反応溶液中に加えるとATPase活性が上昇する事が明らかになっている。しかし,そのような結果は今のところ得られていない。反応溶液に添加する核酸や金属イオンの種類や濃度などの最適な反応条件を現在更に検討中である。 (2)RHLの局在に関する研究実績。 産卵後12と36時間目の休眠卵の切片を用いて免疫組織化学的実験を行った。その結果,12時間目の卵では,胚盤葉にRHLの特異的な局在が確認できた。また,36時間目の卵では,卵黄細胞の核周辺部に局在が確認できた。現在,他のステージの卵についても検討する準備を進めている。 (3)RHLをリン酸化する酵素に関する研究実績。 市販のキナーゼとカイコの初期胚からのタンパク質抽出液を用いてのin vitroリン酸化実験から,rRHLはカイコの初期胚中で主にカゼインキナーゼ2(CK2)により特異的にリン酸化される事が明かとなった。現在,初期胚中のCK2の精製と性質について詳細な解析を行っている。
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