2004 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫神経ペプチドが種特異的な生理機能を発現する機構解明
Project/Area Number |
15580043
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
田中 良明 独立行政法人農業生物資源研究所, 発生分化研究グループ, 主任研究官 (90355735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝口 明 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60183109)
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Keywords | 神経ペプチド / カイコ / 鱗翅目昆虫 / ミツバチ / モノクローナル抗体 / 遺伝子クローニング / 前胸腺抑制活性 |
Research Abstract |
1.昨年度作製した前胸腺抑制ペプチド(PTSP)に対するマウスモノクローナル抗体を用いて、カイコやエビガラスズメ等数種の鱗翅目昆虫におけるPTSP関連ペプチドの分布や分泌を詳細に検討した。その結果、このペプチドは腹部神経球からepiproctodeal glandに運ばれて貯留されるが分泌様式は種によって異なること、また脳-側心体に存在するペプチドの分子種はカイコとその他の鱗翅目昆虫で異なることが示唆された。 2.昨年度公開されたミツバチのゲノムデータベースを利用して、ミツバチ成虫の脳からコラゾニンをコードするcDNAをクローニングした。このペプチドは、バッタのみから単離されていた[His^7]-コラゾニンと同様に7番目のアミノ酸残基がヒスチジンであることに加え、さらに4番目がグルタミンではなくトレオニンである新規のコラゾニンであるため、Apime-コラゾニンと名付けた。このペプチドを化学合成してカイコの吐糸に及ぼす効果を調べたところ、他のコラゾニンと同等の強い吐糸阻害活性を示すことが明らかになった。 3.カイコ脳から、4段階のHPLCにより最も高い前胸腺抑制活性を示すペプチドの単離に成功した。このペプチドのアミノ酸配列は他昆虫種で筋収縮活性を示すペプチドであるmyosupppressinとホモロジーがあり、特にタバコスズメガのFLRFアミドIと同一の構造であった。したがって、このペプチドをBommo-myosuppressin(BMS)と名付けた。免疫組織化学の結果から、このペプチドで主に脳間部の2対の神経分泌細胞で合成されて側心体から分泌されることが推測された。
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Research Products
(2 results)