2005 Fiscal Year Annual Research Report
環境修復への利用をめざした腐植物質のキャラクタリゼーション
Project/Area Number |
15580045
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
青山 正和 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (60150950)
|
Keywords | 腐植物質 / 環境修復 / 高速逆相クロマトグラフィー / 重金属 / 多環芳香族化合物 |
Research Abstract |
腐植物質を環境修復に利用するに際しては、どの構成成分が汚染物質と結合するのかを明らかにする必要がある。腐植物質は金属イオンと錯体形成すると蛍光の消光が起こることから、この現象を利用して、ポリマー系モノリスディスクカラムを用いた高速逆相クロマトグラフィーと蛍光検出法の組み合わせにより腐植酸およびフルボ酸を構成する成分のいずれが重金属との錯体形成に関与しているかを解析した。腐植酸では、銅イオンとの錯体形成により、ピーク面積は、成分Iでは約3分の1に、成分IIでは約3分の2に減少したが、成分IIIでは約20%の減少にとどまった。このため、腐植酸の構成成分の内、重金属と錯体を形成する成分は主に成分IとIIの親水性成分であると推定された。フルボ酸の場合には、フルボ酸溶液に加える銅イオンの濃度を上昇させると、成分Iのピーク面積は著しく低下したが、成分IIのピーク面積はごくわずかしか減少せず、フルボ酸では、もっとも親水性の強い成分Iが重金属と錯体形成する成分であると推定され、腐植酸と比べて成分IIは錯体形成能が小さいことが示唆された。一方、多環芳香族化合物のような強い蛍光を発する化合物をモデル化合物とすれば、高速逆相クロマトグラフィーと蛍光検出法の組み合わせにより難分解性有機化合物と腐植物質との相互作用の解析が可能になると考えられることから、腐植酸およびフルボ酸にピレンを吸着させ、どの成分が多環芳香族化合物の吸着に関与しているのかを検討した。腐植酸では全ての成分が多環芳香族化合物の吸着に関わっているのに対して、フルボ酸では成分II〜IVが吸着に関わっており、親水性のもっとも強い成分Iは吸着に関与していないことが認められた。フルボ酸は親水性の高い成分Iに富んでいることから、環境中の多環芳香族化合物の吸着には向かず、この目的のためには腐植酸を使用することが望ましいと考えられた。
|
Research Products
(3 results)