2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15580074
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
門脇 辰彦 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (90313973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 泰雄 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (50101168)
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Keywords | Wntファミリー / 幹細胞 / 細胞分化 / Porcupine |
Research Abstract |
ミツバチ働き蜂の分業制のメカニズムを明らかにする目的で、加齢に伴い脳内で発現が変動する遺伝子を、マクロアレイ法によりスクリーニングした。この実験結果から、様々な機能を持つ遺伝子の発現が加齢により変動することを見い出し、加齢と行動変化に伴い脳内でダイナミックな遺伝子発現調節が行われていることを明らかにした。 ミツバチの視覚を担う2つの遺伝子(緑色オプシンと視覚アレスチン)の発現が、概日時計、光、加齢という複数の内的及び外的因子によって制御されることを見い出した。したがって、ミツバチの視覚系は、光と加齢に依存して羽化後段階的に成熟し、かつ視覚感受性は1日において変動することが明らかとなった。これらの結果は、ミツバチの1日あるいは一生における視覚の必要性と合致しており、視覚を担う遺伝子の発現が、視覚を必要とする動物行動と密接に関連していることを示唆した。 また、我々はミツバチから異なるサブタイプに属する2つの代謝型グルタミン酸受容体(AmGluRAとAmGluRB)を同定した。この受容体は、ジスルフィド結合非依存的に2量体を形成し、グルタミン酸に特異的に結合する活性を持つ。2つの受容体遺伝子は、働き蜂脳内において同じ部位で強く発現することから、両者の受容体分子の相互作用により、L-グルタミン酸を介する神経伝達が修飾される可能性が示唆された。さらに、DmGluRAとAmGluRAはII型代謝型グルタミン酸受容体をコードするショウショウバエとミツバチの相同遺伝子であるが、両者の脳内での発現パターンは大きく異なる。したがって、II型代謝型グルタミン酸受容体遺伝子は、分子レベルで同じ機能を持つ受容体をコードするが、その脳内での発現パターンは単独性のショウジョウバエと社会性のミツバチで大きく異なる神経伝達物質受容体遺伝子の代表の1つと考えられる。
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Research Products
(2 results)