2004 Fiscal Year Annual Research Report
バイオレメディエーションをめざしたコケ培養細胞による芳香環分解に関する研究
Project/Area Number |
15580087
|
Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
鍋田 憲助 国立大学法人帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (70093911)
|
Keywords | コケ培養細胞 / サワクサリゴケ(Lejeunea aquatica) / シダレゴヘイゴケ(Ptychanthus striatus) / ツクシウロコゴケ(Heteroscyphus planus) / クパレン系セスキテルペンの生合成 / labdane型ジテルペン / bisphenol A / peroxidase |
Research Abstract |
コケ培養細胞中での高度に酸素化された二次代謝産物とその生合成経路を明らかにし、酸素化に関与する酵素系を利用した環境汚染物質の分解を行った。得られた結果は以下のようにまとめられる。 1、サワクサリゴケ(Lejeunea aquatica)培養細胞を用いて高度に酸素化されたクパレン系セスキテルペン、(-)-2-cuparenol、(-)-2,3-dihydroxycuparenol、(-)-2,5-cuparenoquinoneの生合成研究を行った。[2-^<13>C]-、[4-^<13>C]-、[4-^2H_2]-、[4,4-^2H_2,4-^<13>C]-、[5,5-^2H_2,5-^<13>C]-メバロン酸の投与実験から、立体選択的な環化反応、環形成過程における、1,4-及び二重1,3-水素転移、及び芳香環への水酸化過程においてNIHシフトが生ずることなどを明らかにした。クパレン系セスキテルペンの芳香環酸素化過程は、芳香環分解過程の初期段階を示すものであった。 2、細胞内での酸素化を知る手がかりとして、シダレゴヘイゴケ培養細胞中の高度に酸素化された化合物の検索を行った。その結果、高度に酸素化されたlabdane-型ジテルペン3種を分離し、既知物質ptychantin GとFを同定し、一種を新規物質6-deacetylptychantin Fと構造決定した。 3,(1)シダレゴヘイゴケ(Ptychanthus striatus)およびツクシウロコゴケ(Heteroscyphus planus)培養細胞に環境汚染物質の一種であるbisphenol A(0.12mM)を加え、5日間培養した。その結果、95%のbisphenol Aが消失すること、分解物のほとんどが細胞ろ液中に存在すること、分解物として、4-isopropenylphenol,4-isopropylphenol,4-hydroxyacetophenon,2-hydroxy-4isopropylphenolが存在すること、コケ培養細胞はbisphenol Aを酸化的分解や配糖化により無毒化することが証明された。なお、これらのコケ培養細胞は細胞外に、peroxidaseを分泌することが明らかになった。(2)なお、重水素標識bisphenol Aの投与実験により、4-isopropenylphenolと4-hydroxyacetophenoneの生成過程を明らかにした。(3)また、配糖体として4,4'-isopropilidenediphenol-O-β-D-(6"-O-methyl)-glucopyranosideが存在することが明らかになった。
|
Research Products
(2 results)