2003 Fiscal Year Annual Research Report
食品タンパク質の冷却リホールディング解析およびその利用に関する研究
Project/Area Number |
15580102
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
下山田 真 岐阜大学, 農学部, 助教授 (60235695)
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Keywords | 豆乳 / 加熱処理 / 加熱変性 / 沈殿形成 / 可溶性凝集体 |
Research Abstract |
8倍加水豆乳を調製し、この豆乳を80℃〜120℃にて加熱した。加熱豆乳をSDS-PAGEに供するとともに、タンパク質の変性度について解析するために表面SH基量を測定した。その結果、最大60分の加熱処理を行った結果、80℃での加熱では表面SH基量はそれほど大きな減少は見せずなかったのに対して、100℃以上で加熱すると大きく減少した。その後、110℃以上での加熱を継続するとSH基は再び上昇し、加熱変性が進行しているものと考えられた。SDS-PAGEからは100℃以上の加熱によって凝集体の形成が示された。この豆乳を冷蔵保存すると100℃以上で加熱することで豆乳の沈殿量が大きく減少した。 次に一旦110℃あるいは120℃で加熱した豆乳を異なる温度で保持した後に急冷した。その結果表面SH基は70℃で保持することで経時的に減少するのに対して100℃では増加した。一方、表面疎水性はSH基とは逆に70℃ではやや増加し、100℃では減少傾向が見られた。これらの結果より、110℃あるいは120℃でタンパク質を一旦変性させた後に、タンパク質の変性温度より高い温度で保持するとさらにタンパク質の変性が進行し、タンパク質分子の凝集反応が進行するものと考えられた。逆に変性温度より低い温度での保持はタンパク質のリホールディングを引き起こし、凝集体形成は抑制されると考えられた。この豆乳を冷蔵保存した時の沈殿量を調べた結果、100℃で保持した豆乳と比較して70℃で保持した豆乳は沈殿量の増加が見られた。これらの結果より加熱変性した豆乳を変性温度よりは低い温度で長時間保持することでタンパク質のリホールディングが進行し、タンパク質の分散安定性を低下させているものと考えられた。逆に加熱豆乳を変性温度以上で保持することで可溶性を保った凝集体形成が進行し豆乳の分散安定性は高く保たれるものと推測された。
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