2003 Fiscal Year Annual Research Report
新規なモデルマウスを用いた高脂肪食により誘発される2型糖尿病の原因遺伝子の同定
Project/Area Number |
15580105
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
堀尾 文彦 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (20165591)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池上 博司 大阪大学, 大学院・医学形研究科, 助教授 (20221062)
西村 正彦 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20073661)
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Keywords | 2型糖尿病 / 糖尿病遺伝子 / QTL解析 / 糖尿病モデルマウス / 高脂肪食 |
Research Abstract |
2型糖尿病は、遺伝因子と環境因子とが相互に絡み合って発症する多因子病である。さらに、2型糖尿病の大部分は多数の糖尿病遺伝子の相互作用によって起こる多因子遺伝病であり、これらの遺伝子のほとんどが明らかにされていない。また、2型糖尿病の発症は環境因子の中でも栄養学的(食事)因子によって強く支配されており、日本人をはじめ現代人の食生活において脂肪の摂取増加が2型糖尿病の最も強いリスクファクターの一つである。そこで本研究では、我々が開発した糖尿病モデルマウス(SMXA-5系統)を用いて、高脂肪食摂取下において誘発される2型糖尿病原因遺伝子を同定することを目的とする。 (1)脂肪食摂取時に耐糖能異常および高血糖を引き起こす遺伝子が存在するA/J系統の2番染色体領域(80cM領域)を、SM/J系統に導入したコンジェニック系統の糖尿病形質の解析。 現在までのSMXA5とSM/Jとを交配して得たF2マウスを用いたQTL解析により、2番染色体に耐糖能異常と高血糖を誘発するA/Jマウス由来の遺伝子(QTL)が存在する結果を得た。そこで、この遺伝子の存在と効果を実証するために、前述のQTLの染色体位置をほぼ中心にして約80cMのA/J由来領域をSM/J系統に導入したコンジェニック系統の作出を完了できた。このマウスに高脂肪食(30%ラード、20%カゼイン含有)を与えて糖尿病形質を正常系統のSM/Jと比較したところ、明らかに耐糖能は悪いことが明らかとなった。すなわち、この導入領域に2型糖尿病遺伝子が存在することを証明することができた。 (2)上記の系統より作成したサブコンジェニック系統を用いた糖尿病遺伝子の微細マッピング。 上記のコンジェニック系統とSM/J系統とを交配して、2番染色体の約80cMのA/J領域の断片を保有するサブコンジェニック系統を数種類作成して、高脂肪食摂取下で糖尿病形質を発現する系統を見い出す。この結果より、2番染色体の80cM領域のどこに糖尿病遺伝子が存在するかについて詳細なマッピングを行う。本年度内に8種類のサブコンジェニック系統の作製を進め、あと3ヶ月くらいでその一部の系統は作出が完了する。その後すぐに、それらの系統の糖尿病形質を解析する。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Kobayashi, M., Io, F., Kawai, T., Nishimura, M., Ohno, T., Horio, F.: "SMXA-5 mouse as a diabetic model susceptible to feeding a high-fat diet"Biosci.Biotechnol.Biochem.. 68(1). 226-230 (2004)