2004 Fiscal Year Annual Research Report
でん粉粒表面でのタンパク質の構造制御による食品用でん粉の改質
Project/Area Number |
15580114
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
中村 卓 明治大学, 農学部, 助教授 (30328968)
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Keywords | 澱粉 / 大豆タンパク質 / 原子間力顕微鏡 / Puroindoline / Transglutaminase |
Research Abstract |
1、小麦でん粉粒表面のナノ構造解析 でん粉の種類による糊化物性の違いを解明するために、でん粉の構成成分のアミロース/アミロペクチンの含量比と構造の違いだけではなく、油脂やタンパク質を含む多数成分からなるでん粉粒として解析する必要がある。今年度は、由来農産物の異なるでん粉の種類により、その表面のナノスケールの凹凸構造構造が異なることを原子間力顕微鏡観察で明らかにした。また、昨年度明らかにした小麦澱粉粒結合タンパク質のピュロインドリンの他種でん粉への結合に関して、アイソフォームであるピュロインドリンaとbを分画精製し比較した。さらに、これらピュロインドリンa及びbが結合されたでん粉は乳化能が向上することを明らかにした。 2、地下茎加工でん粉を目標とした開発 酵素反応によるでん粉粒表面でのタンパク質の構造化において、でん粉粒表面でタンパク質を基質に最小限の水分子の存在下で酵素反応する複合構造化プロセスを検討している。本年度は、加工装置として多機能型粒子加工機(ホソカワミクロン(株)製AGM-MINI)を用いた。天然でん粉・吸着でん粉・酵素反応タンパク質複合化でん粉の3種類について比較した。酵素反応により、基質タンパク質が高分子化しでん粉粒表面をコーティングしていることを、SDS-PAGE分析と原子間力顕微鏡・共焦点レーザースキャン顕微鏡観察から明らかにした。更に、このように加工されたでん粉の糊化特性が変化した。RVA測定からピーク粘度が減少すること。ホットステージ顕微鏡観察から糊化膨潤が抑制されていること。DSC分析から糊化温度が上昇していることを明らかにした。さらに、酵素反応タンパク質複合化でん粉にプロテアーゼを作用させ、表面からタンパク質を取り除いたものでは、もとの未加工澱粉の特性に戻ることを明らかにし、糊化特性の変化がでん粉粒表面でタンパク質を構造化したことによることを証明した。
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