2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15580117
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
成田 宏史 京都女子大学, 家政学部, 教授 (30155999)
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Keywords | 食物アレルギー / 母乳 / 分泌型IgA / 免疫複合体 / アレルゲン |
Research Abstract |
我々はこれまでに、卵白たんぱく質が母乳中に特異的IgAとの免疫複合体として存在している事を明らかにしてきた。本研究では、これらの普遍性を確認するため、厚生労働省通知法のアレルゲン定量系を用いて母乳中の食物アレルゲンの解析を行った。 定量した全ての検体で特異的IgA、免疫複合体が検出され、それを飲む乳児のアレルギーの有無による差は見られなかった。したがって、母乳中には乳児のアレルギーの有無に関係なくアレルゲンが免疫複合体として存在しており、免疫複合体は乳児のアレルギー発症の直接原因ではないと思われる。 またβ-ラクトグロブリン特異的IgAが検出された母乳に10μg/mlになるようにβ-ラクトグロブリンを添加し、ゲル濾過解析を行ったところ、β-ラクトグロブリン・IgA免疫複合体のみが増加し、β-ラクトグロブリン特異的IgAが減少した。これにより母乳中のアレルゲンとIgAとの特異性が証明された。 さらに、母乳中への特異的IgAの誘導について検討するため、そばを一定期間規則的に摂取した母乳の解析を行ったところ、そば摂取期間に毎日採取された母乳は、摂食回数に伴いそば特異的IgAが増加傾向にあり、摂取により特異的IgAが誘導されることが確認できた。このことは、乳児が卵アレルギーであるために母親が鶏卵摂取を控えている方が、卵白特異的IgAが低いことと一致した。 またゲル濾過解析の結果、昨年までオボムコイドは免疫複合体の位置にのみ検出され遊離の位置には検出されなかったが、今回遊離の位置に検出されるものがあった。オボアルブミンでは昨年同様、一部のサンプルで遊離の位置にも検出された。 以上の結果から、母親は好き嫌いなく食べることでアレルゲン特異的IgAを誘導し、一度にたくさん食べないようにすることでアルゲンを遊離として分泌しないことが経母乳感差の予防に重要であることが示唆された。
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Research Products
(1 results)