2003 Fiscal Year Annual Research Report
銅耐性褐色腐朽菌のシュウ酸生合成系鍵酵素のcDNAクローニングと細胞内局在性
Project/Area Number |
15580146
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
島田 幹夫 京都大学, 木質科学研究所, 教授 (50027166)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 啓一 京都大学, 木質科学研究所, 助手 (20238223)
服部 武文 京都大学, 木質科学研究所, 助手 (60212148)
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Keywords | オオウズラタケ / 褐色腐朽菌 / イソクエン酸リアーゼ / CDNAクローニング / シュウ酸 / 銅耐性菌 / 細胞内局在 / グリオキシル酸 |
Research Abstract |
森林微生物キノコの担子菌類(木材腐朽菌と外生菌根菌類)には、生理学的にシュウ酸を分泌するものが多い。木材腐朽菌、特に褐色腐朽菌にあってはその高いシュウ酸分泌・集積性のため、銅薬剤の不活性化を招致しているが、逆に樹木と共生する菌根菌類はシュウ酸などのジカルボン酸を土壌中に分泌することにより、不可給態リン酸を遊離させる働きがあり、樹木成長を助ける菌類として重要視されている。そこで、細胞内でのシュウ酸生合成サイトの局在性を解明し、その生合成を抑制あるいは活性化することは森林資源の育成と保護のための応用学としても重要である。現在、銅耐性褐色腐朽菌オオウズラタケのシュウ酸合成の鍵酵素であるイソクエン酸リアーゼ(ICL)を単離し精製することに成功し、そのほぼ全長をコードするcDNA断片を単離することに成功した。このcDNA断片を鋳型として、3つのDNA断片(塩基対の長さが異なるDNA断片:ICLa、ICLb、ICLc))をPCR法によって調製した。そこで、これらのDNA断片をpET32Ek/LICベクターシステム(Novagen)を用いて、N末端領域のアミノ酸が欠失したポリペプチドとして大腸菌(E. coliBL21(DE3))で大量発現させた。これら3つのポリペプチドのな中で、1つの組み換えタンパク質(ICLb)だけが抗体調製に用いることができるものであることがわかった。白ウサギ(2.5kg)に2週間毎に約1〜2mgの組み換えタンパク質を3回注射し、抗体を調製した。この抗体を用いて、ICLの細胞内局在をつきとめる実験の準備はできたのだが、最終目標を達成するに至っていないため、次年度の計画の中で実施して行くことにしている。
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