2003 Fiscal Year Annual Research Report
木材切削用ダイヤモンド厚膜ろう付け工具の開発と性能評価
Project/Area Number |
15580148
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
番匠谷 薫 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (50101449)
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Keywords | ダイヤモンドコーティング / ダイヤモンド厚膜 / 木材切削 / 長寿命工具 |
Research Abstract |
近年,パーティクルボード,MDFなどの木質系難削材料の機械加工における工具の性能向上と長寿命化が強く求められていることから,筆者らは,超硬合金母材にダイヤモンド薄膜を形成するダイヤモンドコーティングに着目し,その基礎研究を行ってきた。しかしながら,同工具は,耐摩耗性には優れているものの刃先丸みの問題を有し,刃先の鋭利性を改善することが課題で有ることがわかった。本研究では,上記課題を克服する目的から,CVD法によって基板上にダイヤモンドコーティングして製造したダイヤモンド厚膜を超硬合金チップにろう付けし,これを研磨して刃付けを行って,新しい木材切削工具(以下,厚膜ろう付け工具と呼ぶ。)を作製した。作製した厚膜ろう付け工具は,刃先の丸みが従来のダイヤモンドコーティング工具よりも,大幅に改善されて鋭利になり,工具のすくい面および逃げ面ともにかなり平滑になった。さらに,厚膜ろう付け工具とノンコーティング工具を用いて,MDFとメラピを被削材として連続フライス加工を行い,工具の摩耗特性と切削消費電力の変化を調べて両者を比較した。さらに,寿命試験終了後に両工具の切れ刃のSEM観察を行った。両被削材ともに,ノンコーティング工具では,切削の継続にともなって刃先摩耗が進行して行くのに対し,厚膜ろう付け工具は全く摩耗せず,切削消費電力も低い値を維持した。以上,開発したダイヤモンド厚膜ろう付け工具は,とくに木材の切削において,優れた性能を有する長寿命切削工具であることを明らかにした。
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